vol.7『場』×『エネルギー』とはなんですか?
場のエネルギーが高まるって どういうこと?
2014年に作られたセミナールーム梵soyogi ができるまでの物語の中から その気づきを感じていこうと思います。
梵という字は「宇宙の本質的存在」という意味。
私たちの中に存在する本質を 語り合ったり 表現したり 応援しあったりしながら現実化させていく場を創りたい!と思い、2014年に「梵soyogi」が形となった。
◾︎2013年の葛藤
ご縁の杜が '料亭小宿ふかざわ'として活躍していた2013年、おもてなしも評判もとても良く 売上利益も上がっていた。順調な旅館経営の素晴らしさと反面、私の中の本質(肚の声)がモヤモヤと葛藤しているのも実感し始めていた。
'高級旅館'路線でやってきて経営も上手くいってるが、私がやり続けたいのは この形ではない。ここに関わる人たちが、人として 自分の中に在る感覚を語り合い応援しあう場を創っていきたい。そうだ!一つの切り口として、セミナーや講座などを宿泊型でご利用頂ける場になっていこう!
私自身がセミナーや講座での学びが好きだということやその人脈の繋がりという独自性を生かして、この湯河原でセミナーを開催したりしていくアイデアが浮かんだ。
浮かんでみたものの、ここは料亭小宿…。スペースはロビーと面した食事処を兼用。だから利用時間や使用方法に制限が多い。どこかスペースがないものかと 館内を検索。あっ!離れの地下が空いている!
◾︎こんな所に作って ニーズがあるのか!
離れの地下。25畳ぐらいあってスペースとしてはよい。しかし問題はいっぱい。入り口が急な階段、ゴミ置き場の横でどう見ても裏口。設計士さんに見積もってもらったら1000万!いやいやそれは無理。お金はない。やめるか…。
はっ、初心に還る! 「人々が語り合い応援しあう場を創る」
そうだった!旅館の感覚で綺麗に落ち度がないようにしようとする癖がついてた。目的は もっとシンプルだった!
デザインは気にせず、ここに板を張ってフローリングにするだけなら すぐ出来る。よしそれでOK!すぐにマネージャーに'ここに ざばーっと板はるだけでいいから'と大雑把なお願いをした。
◾︎やる!と決めたら、何かが動き始めた。
「志が立つと 人の心も動く」 場を任されたマネージャーが自分でデザイン設計を始めた。もちろん設計などしたことない。しかし、この場を作るんだ!という熱量が高まり、鉛筆書きのスケッチを見せながら、ここをこうしたい ここにこれがあると使う人が便利だし心地よい、費用はかけないのでこうしてもよいですか、などなど その絵から語られる世界観は未来を実感する。
予算がないので、自分で設計して 大工さんと一緒に話し合いながら作る。壁を塗るとか自分で出来ることは全てやる。その当時はまだ料亭小宿だったから セミナールームの意味を感じきれない空気感もあり、みんなで作ろう!のエネルギーは周知されず、マネージャーはほぼほぼ一人で空間創作を苦心した。が、その時のマネージャーのエネルギーは 'この場が多くの人の役に立っていく素晴らしい場になる'と信じ、そのプロセスから自らの人間力も高めていった。そして現実的に素晴らしいスペースが完成した。この時のマネージャーの一言が忘れられない。
「設計とか大工とか全くやったことなかったけど、本当に素晴らしいものができた。これは僕が作ったというよりも、'天に創らされた' としか思えない。」
◾︎2014年4月 完成
完成と同時に、その場を利用してみたいという人が少しずつ現れた。
「梵soyogi とは梵字の梵という字で サンスクリット語のブラウマンを表します。宇宙の本質的存在という意味ですので、ここに集まる人たちが自らの本質を感じ それを表現し 現実化させていける応援の場として活用して頂けたら嬉しいです!」
ご利用の度に熱く語らせて頂き、この場の意味を知って使って頂いた。その想いが共鳴していくのか、場のエネルギーはどんどん高まり、本当に心地良い場ですね、と喜びを感じる方々の声と予約が増えていった。
そして、この梵の活躍とともに、宿の在り方にも変化が生じ、宿も含めた場そのものが その本質へと向かっていった。今 思えば着々と望む方向へと変革していったのだなと分かる。
◾︎「手をかける」とエネルギーが高まる
こうやって、手をかける素晴らしさを感じた私たちの空間記憶は、2016年に ご縁の杜へとコンセプト転換した時には その感覚は当然のものとして この場に表現され、手作り 物作り の精神が自然に形になる場となった。
シェフの野菜の声を聴くエネルギー料理のプロセス。館内の本棚や白木のテーブル、和紙の明かりの灯篭も手作り。作り手のエネルギーが高い時にぐいっと創作される。
そして、今回2018年、新しいセミナールーム輝kagayakiの創作は、漆喰壁を塗ったり 流し台も木で手作りした大創作。同時に大浴場の床の張替えや お風呂の暖簾も手作り手染めしたり。場のエネルギーも そこに関わった人のエネルギーも自然に高まっていく。
◾︎ '手をかける' '心をかける'
具体的な物質の創作や、場への感謝、この場で出逢う人たちとのご縁への喜び。
こういう感覚が 結果としてエネルギーを高め合う場になっていくのだと思う。
物質大量生産 合理化 経済重視の時代から、また改めて ちょっと異なる角度で物事を感じたり、心が動いたことを形にしてみたりするのもよいのではないかと思う。