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Classic Music Diary

BORODIN:The Three Symphonies

2023.01.07 07:12

Moscow Radio Symphony Orchestra, Gennady Rozhdestvensky etc (Praga Digitals)

アレクサンドル・ボロディン。『イーゴリー公』の『ダッタン人の踊り』、『中央アジアの草原にて』があまりにも有名で誰もが知っている割に、その他の楽曲はほとんど知られていないのは多くを作曲しなかったからかもしれない。医学生時代は非常に優秀で主席卒業後は化学者となりその優れた功績は『ボロディン反応』として化学史の中にも刻まれている。ピアノの才能は小さい頃から示していたが、作曲は正式に学校に行ったわけでなく29歳にしてバラキエフに出会ってから学んだという。そう言えばチャイコフスキーも法律専門で法務局に勤めていた公務員で作曲を学び始めたのは21歳からだった。本業は化学者で多忙、音楽は全くの副業であったのでそれぞれの曲を何年もかけて作曲しており、未完に終わるものも少なくない。それにも関わらずロシア5人組の一人に数えられているので作品の質は折り紙付きだろう。

そんなボロディンの三作の交響曲をまとめたアルバムは珍しい。第三番は未完に終わっているため2楽章しかない。交響曲第二番は『イーゴリ公』のメロディーが随分と流用されており東洋風の勇壮な楽風のこの曲は一番よりも収録数が多い。ボロディンの作風が『ダッタン人の踊り』に代表されるようなオリエンタルを感じさせるのは、彼の父がグルジア人でコーカサスの血を引いているのも理由の一つなのだろう。あまり聴く機会のないこれら交響曲だがボロディンらしいサブドミナントをアクセントとした美しい和声進行は健在でとても聴きやすい。チャイコフスキーも影響を受けたロシア国民学派の交響曲、一度は聴いてみてもいいかもしれない。

                                                                                                                             2023-1