『W旦那+(プラス)』The first time the zoo④三代目妄想劇場ショートストーリー
隆臣「ふわふわちてる…」
小動物と触れ合えるコーナーで、隆臣がモルモットを膝に乗せている。
真後ろに臣がしゃがんでいて、足の間に隆臣がすっぽり入っている。
隆臣「かわいーうしゃぎ🐰」
隆二「これはモルモットっていうんだよ」
隆臣「モルぅ?」
臣「ちょっと隆臣には難しいかな?」
隆二「たっくん、興奮してお鼻出てきたね。ちーんして」
前にいる隆二がティッシュを持って隆臣の鼻にやると、隆臣がちーんとやった。
臣「隆臣寒くないか?」
隆臣「しゃむくない」
臣「そっか」
「ママぁ!これ欲しい‼」
すぐ隣で別の親子が会話している。
隆臣「ママ…」
隆臣が隣の親子を見て小さく呟いた。
隆二「…たっくん」
「ママー‼お腹すいたぁ!」
「じゃ、ご飯食べに行こっか?なに食べたい?」
「エビフライと…ハンバーグがいい!」
「あとプリンね‼」
「うん‼ママだーい好き!」
隆臣より一歳位上かな?
親子は手を繋いで楽しそうに出ていった。
隆臣はモルモットを撫でていた手を止めて、親子をずっと見ていた。
隆臣「マーマ…」
隆二「たっくん…」
臣「隆臣ご飯食べに行こっか?」
隆臣「ごはんいくぅ♪」
臣「なに食べたい?」
隆臣「たぁくんねぇ、エビふりゃい🍤とハンバーグがいい」
隆二「…」
隆二はモルモットを動物園のスタッフに返し、臣から隆臣を受け取り強く抱きしめた。
臣「隆二…」
隆臣「パーパ、くるちいよ」
隆二「…あ、ごめんごめん💦💦強すぎたね…」
臣「……」
隆二「西園に食堂あったよね?そこ行こっか?」
臣「ん」
臣「よし、隆臣肩車してやろ🎵」
隆二「臣、食堂までは俺に抱っこさせて」
臣「うん」
パンダリュックを背負った隆臣をしっかりと抱いて、不忍池のほとりを臣と並んで歩いていく。
隆臣の柔らかい黒髪が風に揺れる。
隆二「たっくん、ママ欲しい?」
臣「……」
隆臣「いらなーい…パパがいい」
隆臣はまた隆二のTシャツにスリスリしている。
隆二「そっか…」
隆二は隆臣のおでこにキスをした。
隆二「たっくんの為なら、パパいつでもママになってあげるからね」
臣「……それって、性転換レベルの話?」
隆二「ちげーよ!行動レベルの話」
隆臣「たぁくんママいらなーい…」
臣「隆臣、隆二パパがいつでもおっぱいあげるって」
隆臣「ほんと?パーパのおっぱい?」
隆二「臣っ…変なこと教えんな!」
隆二「たっくん、パパはおっぱいないよ」
臣「え!?ついてなかったっけ?」
隆二「揚げ足とんなって!」
隆臣「たぁくん、もうあかたん👶じゃないよ。おっぱいいらなーい」
隆二「ははは💦💦そだね…」
隆二がしかめっ面を臣に向けた。
臣「心配しなくても、お前が思ってる以上に隆臣は強いって」
隆二「そっかな…まだこんなに体もちっちゃくて、幼いのに…」
臣「だから?ママが必要ってか?」
隆二「やっぱママって特別な存在だもん…」
臣「世の中には色んな理由で男手一つ子育てしているパパも大勢いるんだ」
臣「ママがいない分、俺らがしっかりと愛情を注いでやれば…」
隆二「……」
臣「きっと隆臣は強い子になるよ」
隆二「その前に、俺らがいつ子離れできるか…」
臣「保育園のこと?」
隆二「……俺はまだまだ怖い」
臣「……」
隆二「当たり前のようにママがいる同年代のチビッ子の中に、たっくんを入れるのは…不安だよ」
臣「四六時中一緒って訳には行かないんだ。
きっと隆臣も乗り越えてくれるよ」
隆二「……だといいけど」