叡山の悪僧と云うべき面構え(つらがまえ)
末娘がイギリス留学から帰って来ました。久しぶりの再会でどんなに感動するかと思いきや、あんまりピンとこない…(笑)。だって昨日だって、電話とメールで会話してましたから~。
すごい時代になったもんですね~、その電話代も全くタダ!無料!かけ放題、テレビ電話でお互いに元気な姿も確認出来ちゃうんです!
もちろん私は全くのアナログ人間、テレビの録画も出来ないんですから笑っちゃう。
娘が留学する前に徹底的に私に携帯電話の操作をレクチャーして行ったのが功をそうして、長い間の留学期間、少しも距離感を感じず過ごせました。そんな娘なのですが、帰国してから急に日本語にこだわり始めました。イギリスにいる外国人の友達に日本語を教える時にあまりに自分のボキャブラリーの無さに情けないのだと言うのです。
そんなわけで、アナログ母さんは『とにかく、夏目漱石か川端康成の本を3冊読みなさい!そこに良き時代の日本語の総てあるから!』とアドバイスをしました。そして次の日から我が家は大変です、平成生まれの彼女からすると小説の中に出てくる言葉、「叡山の悪僧と云うべき面構え」とか「長いお談義(長話)」、「草臥れた(くたびれた) 」「良いご気性」「任地へ出立する」「存外結構な人(大概良い人)」などなど…。今では死語になっているような言葉が彼女には新鮮で面白くて仕方ないらしく、一つ一つノートに書き留めています。ついでにママも一冊読み始めました。すると今ではすっかり忘れてしまっていた本当に美しく、品格と思いやりに溢れた日本の言葉が次から次へと出てきます。ひと昔前の人はこんなに素敵な言い回しをしていたのかとつくづく感心させられます。今はメールで直ぐ連絡を取り合えるけど、こんなに一言一言に心を砕いてメールを打っているかしら?
外国人に日本語を伝えるためにと読んだ本から、改めて日本語の素晴らしさを教えられる事となりました。60歳になってもまだまだ勉強です。今度皆様にお目にかかる時には是非とも『叡山の悪僧と云うべき面構え』だけは避けたいと切に願っておりまする~。