2020質問集2(財政見通し)
それでは、まず、区の財政見通しと景気について伺います。
八月二十六日に庁議決定されている、文京区の予算編成方針にある区の景気認識は、「景気後退の局面となり、特別区民税については大幅な減収が、また、都区財政調整交付金については原資となる法人住民税の減収による減がそれぞれ想定され」とあり、続いて、「国による不合理な税制改正等の影響を含め、今後複数年にわたり歳入減が続き、極めて厳しい財政状況に陥るものと見込んでいる」とあります。
過去二回の経済危機である、世界金融危機、そして東日本大震災では、特別区税で二十億円程度、特別区交付金で三十億円程度の税収減が観察されています。恐らく、区は、今回もその程度の落ち込みを想定しているのではないかと推察しますが、私はそこまでの落ち込みはないのではないかと考えております。
過度の悲観による事業縮小により、必要な行政ニーズを満たすことができなくなれば、文京区の未来に暗い影を落としかねません。
そこで、改めて、今回のコロナ危機により、具体的にどの程度の額の落ち込みを想定しているのか。また、それはどの程度の期間を想定しているのか、区の認識をお示しください。
最も速報性があると言われている経済指標である景気ウォッチャー調査による東京都の景況感は、八月十一日発表の七月分では三八・四ポイントであったものが、十一月十日発表の十月分の数値は五三・五ポイントと、大幅な改善を見せています。
区の予算編成方針が示されて、二か月以上が経過します。八月時点と比べて、かなり足元の社会経済見通しは明るい方向で変化していると思います。足元の区長の景気認識及び財政見通しを改めてお聞かせください。
今回の景気の悪化というのは、いわゆるアベノミクス景気と言われている、二〇一二年の十一月を谷とする戦後第十六景気循環が、二〇一八年の十月に山を付けてからの落ち込みを指します。つまり、景気の悪化は、今を遡る二年前に、もう既に始まっていたのです。
それに追い打ちを掛けるように、昨年の十月には消費増税を強行、そして、令和二年の一月若しくは二月に弱々しい景気の回復の兆候が見られたものの、そこを新型コロナウイルスが直撃して、日本経済にとどめを刺したという格好になります。
有効求人倍率などの雇用関係の指標も悪化しており、皮膚感覚では、景気はますます悪化の一途をたどると考えられる方も多いのではないかと思います。しかし、実際には、今年の五月には景気が既に底を打っており、現在はもう回復局面にあるのではないかというのが私の考えです。
というのは、過去の実績を見ると、景気の山、谷というのは、ほぼ鉱工業生産指数の山、谷と一致しており、その数値が、二〇一八年の十月の、一〇五・六%をピークにだらだらと下降を続け、今年の五月に七八・七%で既に底打ちしているという明るい兆候があるからです。直近十月三十日に発表された九月の速報値では、九一・六%という急回復を見せております。
冒頭にも申し上げましたが、全ては循環、景気も循環します。一日の中で夜明け前が一番暗いのと同様に、景気の実感も回復直前が最も暗いものです。
一般的な皮膚感覚で感じる、完全失業率、家計消費支出などの景気指標は、景気に遅れて動く遅行指標と分類されております。区財政のかじ取りも、一歩先を見据えながら行っていただきたいと思っております。