2020質問集(新型コロナとの戦い)
続いて、新型コロナウイルスとの共存について伺います。
まず、この危機の中で最前線に立ち続ける、医療現場、保健所の皆さんを始め、多くの方々の献身的な御努力に、深い敬意とともに、心からの感謝の意を表します。
まず、大前提の質問です。文京区は、大きな方針として、この新型コロナウイルス(COVID‐19)を撲滅してゼロにすることを目標としているのかどうか、この点についてお伺いをします。
私は、ウイルスをゼロにすることを目指すべきではなくて、被害を最小化しつつ、上手にウイルスと共存することを目指すべきだと考えております。
私たちが自然の中の一員である限り、感染症は必ず存在します。撲滅などできません。私は、人類はウイルスと共存し、社会生活とうまく折り合いを付けていくしかないと考えております。
今後の区の方針を考えるに当たって、何を目標とするのか、何を目指すのかを一旦明確にする必要があると思いますが、現時点でのお考えをお示しください。
今般の新型コロナウイルスによって、人々の健康被害だけではなく、甚大な経済被害がもたらされました。文京区において、健康被害については、保健衛生部を中心に、科学的な根拠に基づいて適切な対応を取っていただいていること、また、経済被害についても、矢継ぎ早に政策を立案し、多くの支援を既に実行していることについては、感謝と敬意を表したいと思います。
しかし、不安という心理的被害については、残念ながら、区役所の対応だけではいまだ不十分と言わざるを得ない状況が続いています。
幸いなことに、諸外国と比較して、我が国における健康被害は驚くほど軽微に収まっており、これは、政府の対応が良かったのか、たまたまウイルスが弱毒性だったのか、原因は不明ですが、事実として、これまでのところ、桁違いに被害が少なかったと言っていいでしょう。
しかしながら、漠然とした不安が国中を覆って、ウイルスへの対応をめぐる社会の断絶とも言える状況すら発生しております。なぜでしょうか。それは、地上波のワイドショーを中心とするマスコミが、連日のように不安をあおりにあおったからだと思います。
ワイドショーでは、視聴率を稼ぐべく、常に科学より感情が優先され、様々なテクニックを駆使して、一つのセンセーショナルな映像やフレーズを繰り返し繰り返し流すことで、人々の不安心理を増幅させます。これが朝の八時過ぎから夕方の七時近くまで延々と続きます。区役所が、いや、国が幾ら真っ当な情報提供をしようと、焼け石に水であります。
直近ではやや落ち着きましたが、二月から九月頃までは、パンデミックならぬ、正にインフォデミックともいうべき状況が繰り広げられました。
私が考える最大の新型コロナ対策は、イベント、外食、旅行の自粛ではなくて、地上波のワイドショーの放映を自粛することです。しかし、ワイドショーの放映を自粛させるのは、現実的には困難です。
今般のコロナ禍では、科学より感情、事実より空気を優先するワイドショーによって恐怖のどん底に突き落とされた多くの住民から、文京区役所にも、不安の声や、場合によっては極端な住民要望が寄せられてしまったことと推察いたします。
こうした情報による被害、インフォデミックともいうべき状況で、区役所の現場はそれにどうやって対応したのか、また、対応する職員に対する精神的、肉体的影響はどんなものであったのか、また、そこから得た教訓があるとすれば、それもお聞かせください。
区の政策判断や、危機の最前線で対応する職員が、科学よりも感情、理性よりも不安、事実よりも空気に寄り添うようなことになれば、大変な混乱に陥ることでしょう。世田谷区が、「誰でも、いつでも、何度でも」を合い言葉にPCR検査数を大幅に増やそうとして混乱を招いていることなどは、その一例に思います。その点、今般の一連の文京区の対応は、一貫して非常に的確であったと私は評価をしております。