「二人の孤児」から(令和5年1月法話)
お釈迦様のおられた時、バラモン出身と王族出身の二人の乞食(こつじき)の子供がいました。 ある時、彼らは僧団に行って、食を乞うた。 バラモン出の子供は物事をわきまえず、修行者達が食べる前に行って、食を乞うた。 それ故、修行者達は食を与えなかった。 王族の子供はよく物事をわきまえていたので、修行者達の食事が終わってから行き、その残飯を乞うた。 それ故、修行者達は喜んで彼に多くの食を与えた。 彼らは事後、落ち合って話し合います。 食を得られなかったバラモン出の子供は、憤慨して言った。 「僕はえらくなったら、あいつらを投げ棄ててやる」と。 すると、王族出の子供は、 「そんなことを言うものではないよ。 僕はもし偉くなったら、ご馳走をこさえて、毎日仏や修行者達を供養してあげたい」と。 その内、二人は道端の木陰で眠ってしまった。 すると、そこに1台の馬車が通りかかり、二人の眠っている側へ来ると、急に馬が暴れだし、 眠っていたバラモン出の子供を轍(わだち)にかけてしまった。 この事を聞いて、仏は偈を作り、示された。 「心は業(ごう)のはじめなり。 心うらみあれば、悪き報いあり。 こころ清ければ、よき報いあり」と。 ☆ ☆ 物事を知らず、自分中心の考え方をする、それでは間違いを犯しやすい。 そして、自分の思いもかけない結果になります。すなわち、悪い報いを受けることになります。 その逆に、物事をよくわきまえ、他を喜ばす気持ちで事をおこなえば、 良い結果を招くことになります。 本来、私達が何をするかは、自分が決めます。自分の心のありようが自分の行いを左右します。 ですから、普段から自分の心を正しくあるように心掛けることが大事です。 そのために正しい信心を正しく信心することで、自分の心を正していただきたいと願います。