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「宇田川源流」 確実を求めるのか、多様性を求めるのか、「Z世代」の望む「推薦入試」

2023.01.18 22:00

「宇田川源流」 確実を求めるのか、多様性を求めるのか、「Z世代」の望む「推薦入試」


 大学入試の時期になった。大学受験生は「入試」ということで、「自分の一生を決める」などということを言われて、かなり緊張しプレッシャーに押しつぶされそうになっているのではないかと考える。実際に私自身がそうであったから、たぶん同じなのであろうと想像しているのである。

 あえて、今から35年くらい前の大学受験をした経験者から言わせてもらえば、基本的にほとんどの人は大学の入学試験で「一章が決まる」などということはない。もちろん、理数系などで、医師や薬剤師など、大学で勉強していなければ、国家試験を受けることが出いないというような場合は、大学受験が大きな分岐点になる。しかし、私の友人など医師免許を取った後に、大学を入りなおして弁護士になった人もいるし、その逆もいる。そしてそのように「難関国家資格」を取ったところで、他の友人たちと何か違うのかといわれれば、それほど大きな違いはないということになるのである。

 「大学は、人生の中の試練の一つではあるが、それが失敗したところで悲観することはない」というのが、私の感想ではないかという気がする。まあ、教訓めいたことを言えるほどの人物ではないし、それほどの功績も残してはいないのであるが、まあ、今から考えるとそこまでのプレッシャーを感じるほどの事ではないことは確かだ。まずは受験生の皆さんにそのようなことを書いておこう。社会に出てからの頑張りでいくらでも挽回できる。韓国や中国とは異なり、日本は、そんな国なのである。

 さて、そのようにして受験に関してみてみればどうであろうか。

 受験もかなり変わってきたという。私の時代より前は、そもそも大学への進学率は少ない。「大学は出たけれど」などというように、大学出身者は専門家ではあるが手に職もなく仕事では使えないという時代があったようだ。その後、私の時代は「受験最盛期」であった気がする。私の時代から現在のZ世代といわれる人々の親が、「学歴社会」というものを作りその中で生きてきた。それだけに、子供に対する「学歴へのこだわり」はかなり大きなものがある。

 しかし、社会そのものが変わってきている。

東大、早大でも…激増する“推薦入学者”「お荷物」から「一般入試より優秀」へ10年で評価激変のワケ

 「総合型選抜で入学する学生は、本当に優秀です。一般入試で入る学生より明らかに目的意識が高いですから。読解力や創造力も豊か。大学に合格することが目標でなく、『入学したらこの分野を専門的に学ぼう』という考えをしっかり持っています」

 都内の有名私大の関係者が語る。

 各大学で「推薦入学者」が重宝されている。文部科学省は21年度から名称変更し、高校の成績や課外活動の実績をもとに大学受験する「推薦入試」を「学校推薦型選抜」に。面接や小論文で適性を判断する「AO入試」を「総合型選抜」へ変えた。今回は便宜上、どちらの形式で受験した学生も「推薦入学者」としたい。

 21年度の全国公私立大学の入学者のうち「推薦入学者」が50%を超えた。かつては競争の激しい一般入試に比べ容易に合格できるイメージから、「ザル入試」「お荷物」とまで揶揄された「推薦入学者」。評価激変の背景には、どんな事情があるのだろう。大学ジャーナリストの石渡嶺司氏が語る。

 「確かに10年ほど前まで『推薦入学者』は、学力不足を指摘されていました。実際、一部の大学では入学後に授業へついていけずドロップアウトしてしまう学生もいましたから。簡単な面接だけで、学生を確保しようとする大学が多くあったんです。16年度から東京大学が『推薦入学』を導入すると、『東大の劣化が始まる』『最難関大学も終わったな』と批判を受けたほどでした」(以下、発言は石渡氏)

 応募基準「条件なし」から「評定3.5以上」に

 潮目が変わったのは10年代後半だ。16年に文科省が地方創生のため、都市部の私立大学に対し合格者を定員の1.1倍ほどに制限。19年には学部の新設を規制し、一気に一般入試が難化したのだ。

 「『推薦入学』は夏から秋に行われるため、一般入試を避け早いうちに合格を確保しようと受験生の間で人気が高まったんです。文科省も『推薦入学者』の質を高めようと、小論文で読解力を重視すべきなどと指導。難易度が、どんどん上がっていきました」

 各大学の選考基準も厳しくなった。杏林大学総合政策学部の応募基準は、10年に「条件なし」だったのが22年には「評定平均3.5以上」。早稲田大学社会学部は、同「3.5以上」が「4.0以上」に引き上げられたのだ。

 「小論文の内容も、明らかに難しくなっています。例えば以前なら、室町時代の宣教師フランシスコ・ザビエルについて『来日の目的を50字以内で答えなさい』というのが一般的でした。今は違います。『あなたがザビエルなら来日して布教のために具体的に何をするか、その根拠を600字以内で答えなさい』と問われるんです。知識だけでなく、文章力や創造力も求められます。面接も専門化しています。以前は『本当にウチに入る気ある?』という質問に『ハイ』と答えていれば良かった。現在は各学部の研究について意見や感想を求められます。適当な気持ちでは太刀打ちできません。入門書ぐらいは読んでおく必要があるでしょう」

 東大法学部の「推薦入学」では、グループディスカッションで次のような趣旨のテーマが課されている。

〈女子学生の比率が20%ほどにとどまっている。学生の多様化を促進するために、どのような施策が必要か。その長所と短所を検討したうえで、具体的な制度設計を提案してください〉

 受験生を送り出す高校側も対策に熱心だ。

 「東京の進学校として有名な渋谷学園渋谷では、高校2年で生徒が1万字の論文を書き上げます。テーマは自由です。東大農学部へ『推薦入学』した生徒は動物に興味がありました。檻の前で熊の行動をずっと観察し、動物のストレスと飼育環境の研究について論考をまとめたとか。知識の暗記で試験を乗り切る時代は終わりました。今は総合的な思考や判断力が求められています。『推薦入学者』は、大学へ入る前から専門分野を明確にしているんです」

 「推薦入学者」は学力が高くないというのは今や昔の話。彼らの評価は年々上がっている。

2023年1月9日 14時0分 FRIDAYデジタル

https://news.livedoor.com/article/detail/23506117/

 推薦入学者というのものが見直されているという。確かに、現在になって11月くらいには高校生のうち半分くらいが進路が決まっているといわれている。実際に「大学を出たけれど」と言われた50年前は、大学進学率は約30%しかなかったが現在は60%を超えている状態。大学進学率だけで言えば倍になっている。それだけ大学が増えたということと、また有る意味で少子化の影響で大学生になる学生が少なくなったということで、絶対数はそれほど増えていないのかもしれない。逆に大学が増えたということは、それだけ幅広く大学生を募集しているということと同時に、大学の数が増えているということになる。もちろんそれを指導する人が増えたかどうかということは大きな問題になってくるということになるのである。ある意味では教育の質が悪くなったともいえる。

 しかし、実態は「教育の質が悪くなった」のではなく「教育が多様化した」というのが本当であろう。高校までは「記憶教育」「偏差値教育」ばかりであったのに対して、美術大学や芸術大学、科学大学のように「専科」の大学が出てくることになる。そのような大学に対する入学ということが一般的になったのである。

 しかし、大学の入試の方は、そのような感じにならず、相変わらず「記憶をしたものを吐き出す」というような内容になっているのである。そして大学受験の予備校などは、そのような専科大学まで含めて「偏差値」でランク付けしてしまうのである。そのような状態であれば、当然に「大学受験」や「大学のランク」というものが信用できなくなってくる。もう少し言えば「自分の目指す道には適用されなくなる」ということになるのである。

 上記のように「推薦入学が増えた」「推薦入学の人が優秀な負とが多い」というのは、まさにそのような状況の表れでしかなく「偏差値教育」というものが、多様性の現在にそぐわなくなってきているということになっているのではなかろうか。

 上記の記事では、そのような「Z世代における価値観の変化」が読み切れていないので、「一般入試よりも確実性を重んじる」というような解説になっているが、実際は全く異なることは明らかではないだろうか。

 受験生の世代をしっかりと研究し、そのうえで、「受験」ということをしっかりと研究し、これ等の記事を書くべきであり、我々のような大人世代の内容で物事を感がてえはいけない。そのことが最も重要ではないか。