経団連「人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」
【経済報道】 経団連(会長:十倉雅和)は、令和五年一月二十七日に『二〇二二年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果』を公表した。
目的は、春季労使交渉・協議(春闘)の結果や人事・労務に関するトップ・マネジメントの意識・意見等を調査する為。昭和四十四年から毎年実施。本調査結果は、主に「経営労働政策 特別委員会報告(経労委報告)」の重要な参考資料として活用している。
対象=経団連会員企業・計一千五百十二社の労務担当役員等。時期は昨年九~十一月。回答社数=三百八十七社(回答率=二十五.六㌫)。内、集計可能な三百七十四社が対象。
<七割強に労組>
労組は「従業員の過半数で構成する労組のみが在る」が六十三.六㌫。「企業内労組は無い」は二十四.一㌫。労組自体は七十四.八㌫が在る。
昨年度の春闘を「行った」企業は七十.四㌫。「月例賃金」について労組の要求項目は、「基本給のベア」「定期昇給の実施・賃金体系の維持」の順。前者では九十二.五㌫が要求以上、後者では九十七.四㌫が要求以上で回答した。
労組の要求とは関係無く、会社施策として実施決定した項目は、「定期昇給の実施・賃金体系の維持」「初任給の引上げ」「基本給のベア」の順。昨年の賃金改定に当たり、特に考慮した要素は「企業業績」「人材確保・定着率の向上」「世間相場」の順。
平成二十九~令和三年度にベアを実施しなかった企業は、三十二.一㌫に上った。
ボーナス増は六割
昨年度の「賞与・一時金(組合平均)」では、前年度より「増加」は六十二.七㌫。「減額」が十一.二㌫。労組の要求と比較し、「要求通り以上」は三十.七㌫。「要求を下回る」が二十六.五㌫。「交渉に因る決定ではない」が四十二.八㌫。
「賞与総額(原資)」の決定方法につき、「業績連動方式」を導入している企業は五十八.二㌫。具体的な基準は「営業利益」「経常利益」「その他」の順。
有期雇用社員・パートタイム社員等の処遇改善として「昇給制度」を導入している企業は五十六.六㌫。「賞与・一時金制度」を導入している企業は七十四.三㌫。「退職金制度(退職慰労金を含む)」を導入している企業は二十六.一㌫。
<賃金以外の議論>
春闘において賃金以外で、最も重視した項目には「その他」「育児関連施策の拡充」「労働生産性の改善」「時間外労働の削減」の順。
今後、賃金以外で重視したい項目は「労働生産性の向上策」「ダイバシティ&インクルージョンの推進策」「人材育成施策の拡充」の順。
また「社員と経営トップ・役員との対話」の具体的方法では、「ビデオやメールによるメッセージの発信」「経営トップの職場訪問・意見交換」「経営トップと社員のタウンミーティング開催」の順。
リカレント・リスキリング教育
「リカレント・リスキリング教育」について実施している企業は、六十五.一㌫。検討中が十六.九㌫。外部利用では「人材育成サービス企業が汎用的に提供するプログラム」と「大学等が汎用的に提供するプログラム」が突出した。
勤務の内外に関わらず、「プログラムの提供」「費用面での支援」を多くの企業が実施。勤務内では「キャリア形成面談機会の提供」、勤務外では「時間面での支援」も多かった。
リカレント教育等を大学と連携・協働する際の課題、行政への期待は、共に「連携・協働先となる大学・企業の選定に必要な情報が不足」「コーディネート人材が不足」を重視。課題では「受講成果の評価が困難」、期待では「予算が不足」が次いだ。
スライド:㈳日本経済団体連合会