SMAILE project
小さなずらしが世界を大きく変える。
スマイルアート・プロジェクト
紛争地区、被災地区、キャンプ、仮設住宅、空き家、廃屋を自立的で持続可能な「ミュージアム」に転用するための「ミニマルポップ」(作品=コモディティ)とはどのようなものでしょうか?
そして、高齢者、障がい者、難民、被災者が自立的で持続可能な「労働」としてのアートを実現するための「ミニマルポップ」(作品=コモディティ)とはどのようなものでしょうか?
ススマイルアート・プロジェクトの「作品」=コモディティは立派な美術館やギャラリーとかではなく、バウヒュッテという無名の小さなスペースの「家」に分散して展示されて行きます。観客に対して、アートアバウトという新しいスタイルのギャラリーの楽しみ方を提案しています。都市や国家という地理的概念や時間性を超えて、世界中の2000万ケ所のバウヒュッテ=『家』ミュージアムで日常的に展開される「世界を変える家」という壮大な芸術アプローチです。スマイルプロジェクトは、都市や国家という地理的概念を超えたリージョンというオルタナティブなレイヤー=領域において、無数のアッセンブリーを構成し、地球規模での〝芸術の再構築〟の観点から、初発的に「ずらし」(転用)による「家」の形象を全ての始まりにするべきという理念を掲げた壮大ビッグピクチャーであり、社会の細部に至るまで重要な意味を持つ〝境界なきアート〟だとも言えるのです。
スマイルアート・プロジェクトは、世界中の2000万ケ所で展開するバウヒュッテという『家』ミュージアムで開催されます。
スマイルアート・プロジェクトは貧困や差別、災害、紛争などにおける、障がい者や高齢者、被災者、難民たちがアール・ブリュットの世界において、「社会的なサステイナビリティ」と「環境的なサステイナビリティ」の一石二鳥を狙い、スマイルプロジェクトの作品は芸術をスタティックな、シンボル的な、モニュメンタルな造形物を超えて、人間の動的なアクションのなかで考え、無名な人間の「小芸術」=コモディティにより、「支えられる側」から「支える側」にドラスティックに転換。世界中で群発的に圧倒的なパラダイムシフトを呼び起こすインスタレーションアートなのです。
これまでクリエイティブシティを標榜する都市復興は、施設優先の発想だった。しかし、立派なミュージアムを建設すれば、都市がクリエイティブになるわけではありません。これからの都市復興は破壊と再構築によるものではなく、現存する資源を「ずらし」(転用)が重要になってくる。「破壊」しなければ「再構築」出来ないというのは、現存する資源やシステムの活用のイメージが掴めない美的感覚が硬直した人間の方便にすぎないのです。
このスマイルアート・プロジェクトの作品は身の回りの廃材をアッセンブリーとして、アップサイクルで持続可能な作品をアートとコモディティの統合表現として、現代アートの領域にこだわらず、持続可能なキャッシュフォーワークの事業として取り組んでいます。廃材を再利用する割合を高め環境問題に寄与する。このリ・コンシャスでアップサイクルなアーツ・アンド・クラフツとは、スラッカーとプリミティブが合流する点、あるいは区別されない点のことです。21世紀の芸術を変えるのは、アカデミーのアート教育を受けたアーチストと言われる人々ではなく、アール・ブリュットの感性により、今まで通りの常識や発想ではなく、何ものにもとらわれず、何かを創造できる無名の人々なのです。
スマイルアート・プロジェクトの作品には、その完成した「作品」を見て、思わず「笑み」が噴きこぼれる瞬間があります。人間の目には顔は丸くて、目と鼻と口がついている3つの点が集まった図形を人の顔と見るようにプログラムされている。「シミュラクラ」と呼ばれる現象です。
「こども」にとって、「顔は丸くて、目と鼻と口がついている」、足は「胴体の下にある棒のようなもの」といったレベルの単純なカテゴリーで見ているのです。これが、アール・ブリュットのデフォルトであり、アール・ブリュットの優位性は、「こども」がデフォルトであること。「こども」はリアルとイメージの違いなどわからないし、遊びと仕事の違いもわからないのです。
スマイルアート・プロジェクトの作品の数々は概して、「幼稚」で「プリミティブ」なものとして 消費されていますが、それは作家の意図するところからは微妙にずれているとはいえません。それならば、この奇妙な「作品」=コモディティは「不完全」であることの正当性を表象している。「完全」という概念に対して、直接的には社会的有用性のない「不完全」なオブジェを生み出すという皮肉をきかせたものです。「芸術」の天才とは「不作為」の天才です。無名の人々ほど洗練された手腕を見せる芸術家はいない。そこには作為が存在しないからなのです。
スマイルアート・プロジェクトで展開されるアールブリュットとはすべての無名の人々の才能に徹底して依拠するということです。「学習」とは、教えられることではなく、「能力」から選択することです。すべての人間は生まれもって芸術家であり『芸術』が「デフォルト」なのです。 SMAILEという共同藝術運動は反権威、反アカデミズムというカウンターカルチャーの概念であり、すべての人間が芸術家となり、オルタナティブな世界観を表象するプリミティブなミニマル・ポップです。現代の芸術における「権威」と「マーケット」の二極化においては、「小芸術」が主題化されることは少ないが、それはウイリアム・モリスの日常生活の身のまわりのものを美しくする芸術総体というアーツアンドクラフツであり、アール・ブリュットの世界においては、「小芸術」こそが芸術の要なのです。