『W旦那+(プラス)』The first time the zoo⑥三代目妄想劇場ショートストーリー
「臣くん、隆二くん、デビューした時からずっと好きで…一緒に写メ撮ってもいいですか?」
30代後半くらいの女性二人が側に立っている。
同じ食堂で見かけて、話しかけるタイミングを伺っていたようだ。
「私たちも記念に撮ってもいいですか?」
食堂で働くスタッフからも声が掛かった。
隆二「SNSに上げないでもらえるなら、構いませんよ。いいでしょ?臣」
臣「約束を守っていただけるなら…」
「はい!必ず約束は守ります」
一同が口を揃えて言った。
どの顔も、憧れの二人を目の当たりにして、緊張と嬉しさでキラキラしている。
「隆臣くん…ですよね?」
隆二「あ、はい。隆臣です」
「可愛いー‼︎お二人のファンの間でも隆臣くんの話題で持ちきりなんですよ!」
隠して置いてもいつかはわかること。
それならば、デビュー当時から変わらず応援してくれているファンを信じて公表しようという事になり、事務所の許可も得て、数ヶ月前から隆臣の画像をインスタに上げている。
たちまち「隆臣荒れ」になるくらいにの人気で、今では隆臣の成長過程を楽しみにしているファンも多い。
出生の経緯などは明らかにはしていないが、臣隆の血を分けた子供はメンバーの子供でもあり、三代目ファンにとっても大切な存在である。
二人のソロライブでは、隆臣の画像から作った応援グッズもチラホラ見かけるくらいだ。
隆二「あ、ちょっとだけ待っててくださいね!」
ファンにそう伝えると隆二はウェットティッシュで隆臣の口元を拭き取り、隆臣専用のリップクリームをつけた。
隆臣「たぁくんもしゃしん📸しゅるの?」
隆二「そうだよ♫ファンのみなさんがたっくんとパシャしましょって」
ファン一同「きゃあ♡かわいいっ💕」
「ヘアスタイル、隆二くんの幼い頃とそっくり!」
幼児にしては凛々しく整った眉毛の上で、パッツンと揃えた前髪も可愛いと評判だ。
隆二「よく見てますね!ありがとう」
その隆臣の前髪を触りながら、臣が言った。
臣「今度ソフトモヒカンにしようかって決めてて」
「え?ベッカムみたいな?可愛い〜‼︎
絶対似合う♡」
臣「ありがとう」
隆二「臣が抱っこする?」
臣「ん?いや、隆二が抱っこしてやって」
その会話を聞いてるだけで、一同は舞い上がっている。
隆二「ん!じゃあたっくん♫パパんとこおいで」
隆臣「シャンシャン🐼もいっしょ?」
隆二「そだね!シャンシャンも一緒にパシャしようね♫」
隆臣「はぁい」
隆二は隆臣にパンダリュックを掛けてあげた。
一連の仕草や会話を見聞きして、泣いているファンもいる。
いつのまにかファンの人数も増えて、十数人の集合写真になった。
中央でエクボを見せて笑う臣と、頬をくっつけて、そっくりな笑顔を見せる隆二と隆臣の姿が収められた。
「ありがとうございました!」
ファン一同は二人に感謝し、何事もなかったように、それぞれ散っていった。
ファンの間では暗黙のルールがある。
街中で臣隆ファミリーを見かけても、出来るだけそっとしておいて、私生活を邪魔しないこと。
どうしても一緒に写真を撮りたい時は、二人の許可を得て撮らせてもらい、後は極力干渉しない。
そうやってこの見ているだけで幸せな気持ちになれるファミリーを、皆んなで守っていた。
臣と隆二も、そんなファンの心を知っていて、定期的に隆臣の成長記録をインスタに上げている。
隆臣という存在を得て、更にファンとの絆が強くなったと実感していた。
隆二「ヘアチェンジ、公表しちゃったね」
臣「言ってしまった…」
いつもシャンプーの時に、泡がついた隆臣の髪を立たせてミラー越しに見るとよく似合っていたので、近いうちにヘアチェンジしようと決めていた。
臣「隆臣、明日パパとカット行こうな」
隆臣「たぁくん、キレイにしゅるの?」
隆二「そだよ♫前髪パッツン卒業だって」
隆臣「シャンシャンもしゅるって♫」
臣「ハハハ…💦」