【社長通信】鵜の目 鷹の目(うのめたかのめ)
新年おめでとうございます。齢を重ねるとめでたさの度合いも薄くなっていくように感じるが、今年も一所懸命生業に精進して参る所存です。
コロナ禍は4年目に入り、ロシアによるウクライナ侵攻は長引く様相を見せている。力の信奉が世界を覆い、平和や民主主義など普遍的価値観を揺るがしている。
私たちの住むこの地球は歴史の大きな転換点にあるようだ。今、起こっているこれらのことは、私たち人間すべてに突き付けられている問題で、決して他人事(ひとごと)ではなく「自分事」と受け止めなくてはならない。
さて、前置きが大げさになったが、このように激変する世の中において昨日の続きが今日ということではない。
ゆでガエルのようにぬるま湯に浸かっていると、時代の変容が見えなくなる。
人それぞれの考え方、置かれている状況によってその見え方はさまざまではあるが、先ず肝心なことは人間としての自分の思いを大事に、正義感をもって行動することです。
“鵜の目鷹の目(うのめたかのめ)という言葉がある。
広辞苑によると、鵜が魚を、鷹が小鳥を探すように、一所懸命に物を探し出そうとするさま。また、その眼つき。とある。
変化の激しい時代にあって今、私たちに求められているのは、どんなことでも見逃さない、鵜の目鷹の目のような鋭い目ではないかと思う。
そんな中で私が日常心掛けている物事を見る4つの眼つまりその視点について述べてみたい。
先ず一つ目がひたすら現場を見詰める「虫の眼」です。
なにか問題が起こった時によくいわれるのは、解決策は現場にあるということ。われわれ警備の仕事では始業前のKY(危険予知)活動により現場の状況を把握すること、地を這うように現場を見まわすことです。
2つ目は全体を俯瞰(ふかん)する「鳥の眼」です。上から広く現場を取り巻く状況を把握すること。その俯瞰図をしっかりと頭にインプットして業務にあたる。
3つ目は時代の潮流を知覚する「魚の眼」です。つまり社会の動き、風潮などその時代の空気をしっかりと読んでおくこと。
例えば高齢者による暴走事故、社会の閉塞感によりもたらされる想定外の事件・事故などの発生状況をしっかりと意識下におくこと。
4つ目は逆さまから見たり、様々な角度からチェックを入れたりする「コウモリの眼」です。例えば見る角度によって長いモノでも短く見え、丸いモノでも四角に見えるなど。
最初の2つの眼は静止的な視点、3つ目は動態的な視点、4つ目は批判的な視点とも言い換えられる。
世界が目まぐるしく変化する中、とりわけ魚の眼は一時たりとも閉じることは許されない。外界を見る4つの眼は、経験を積むことで視力は向上するだろう。
しかし自分自身を見つめる内省の目は、年齢を重ねるごとに言い訳や自己弁護の靄(もや)がかかりやすくなり、真実の自分の姿を曇らせてしまいがちだ。
そこで内省の眼をいつも研ぎ澄ませておくにはなにが必要なのだろうか。
以前も「一味同心」で紹介した稲盛和夫氏の経営哲学に「本当に伸びる人は素直な心をもって人の意見をよく聞き、常に反省し、自分自身を見つめることができる人」という言葉がある。聞く力を誇示するリーダーが都合の悪いことは聞いていないかのように見えるのは、私の耳に靄(もや)がかかっているからなのか、自省している。
人間、生きている限りこれで良いということはなさそうだ。まさにそのことを実感しての、2023年のスタートだ。
みなさん、4つの視点を一歩一歩磨き上げ、自省の心をもって成長しましょう。そして幸せになりましょう。
代表取締役 加藤慶昭(2023年1月17日記す)