【切ない話】「今日の弁当美味しかった?」と聞いてくる母が・・
2015.12.29 00:48
私の母は昔から体が弱くて、
それが理由かは知らないが、
母の作る弁当はお世辞にも華やかとは言えないほど
質素で見映えの悪い物ばかりだった。
友達に見られるのが恥ずかしくて、
毎日食堂へ行き、お弁当はゴミ箱へ捨てていた。
ある朝母が嬉しそうに
「今日は〇〇の大好きな海老入れといたよ」
と私に言ってきた。
私は生返事でそのまま学校へ行き、
こっそり中身を確認した。
すると確かに海老が入っていたが
殻剥きもめちゃくちゃだし、
彩りも悪いし、とても食べられなかった。
家に帰ると母は私に
「今日の弁当美味しかった?」
としつこく尋ねてきた。
私はその時イライラしていたし、
いつもの母の弁当に対する鬱憤も溜っていたので
「うるさいな!あんな汚い弁当捨てたよ!もう作らなくていいから」
とついきつく言ってしまった。
母は悲しそうに
「気付かなくてごめんね…」
と言いそれから弁当を作らなくなった。
それから半年後、母は死んだ。
私の知らない病気だった。
母の遺品を整理していたら、
日記が出てきた。
中を見ると弁当のことばかり書いていた。
「手の震えが止まらず上手く卵が焼けない」
日記はあの日で終わっていた。
後悔で涙がこぼれた。