いなべ市とは何か②(2023.1.24) 2023.01.24 14:02 私が員弁に仕事のために訪れたのは、平成10年(1998年)だったかと記憶している。もう25年前、31歳の時だ。大安町商工会が赤米でまちおこしをする際に、商工会広報誌を、まちおこし新聞にリニューアルしたいと、編集等の依頼が来た。ちなみに、現在のいなべ市長、日沖靖氏は、1995年に大安町長選挙に出馬して36歳で当選した。当時、全国で最も若くして就任した町長としてメディアに取り上げられていた。以来、28年間、首長をされていることになる。旧4町が合併し、いなべ市が誕生したのは、私が員弁に来始めて5年後の平成15年で、今年の12月で20周年を迎える。当時、全く政策等が異なる違った4町が合併するために様々な協議が行われた。いや、当初は東員町も協議会に入っていたので、員弁郡5町での合併が進められていたが、終盤に東員町が協議会を外れ、4町での合併となった。合併を前に、市民から様々な意見が寄せられ、一部が、いなべ市のホームページの合併の経緯の資料に掲載されているから、紹介し、現在と比較してみよう。なお、現在の所感については、あくまで、私の私見である。公聴会でのご意見・ご提案●どんな町、村をつくるか、どんなふうに繋がりがもてるような町をつくるのかということをまず考えていただきたい。旧4役場を使用した4庁舎で執務が長年行われ、基本的には、約20年間、旧町の仕組みの多くが残ったままであった。公共施設も整理されることなく。藤原町の小学校の統廃合がされたぐらい。3年前に新庁舎が完成し、新しいまちづくりが始まり、やっと、いなべ市が始動したというイメージだ。ゆえに、この3年間の動きはすごい。●荒廃しつつある農村と林業関係について、今後、付加価値の上がる農業政策、林業政策を是非盛り込んでいただきたい。さらに荒廃がすすみ、担い手確保も難しい状態である。市の税収の中心が、自動車産業であることもあり、行政主導の抜本的な農業改革は行われていない。林業に関しては、産業として、ほぼない。国の森林環境譲与税でわずかならが森林整備の方向性にあるが、森林の荒廃や活用へ向けた大きな動きはない。●新しいいなべ市にふさわしい自然史博物館の建設を強く望みます。自然史の専門家に意見を聞き、自然史博物館を建設すべく準備を進めていただきたい。藤原岳自然科学館の歴史は以下。1973年(昭和48年)に藤原町坂本に東海自然歩道の休憩所として建設された施設を活用して、翌1974年(昭和49年)に藤原岳自然科学館として開館したのが始まり。以来藤原岳登山の玄関口にある自然科学館として長い間親しまれてきたが、施設の老朽化に伴い、2012年(平成24年)に藤原文化センターに移転し、現在に至る。自然科学系の施設は、閉館もあり、三重県内で珍しい。残っただけでも幸いであり、グリーンンフラが着目される中、新しい展開も期待される。●スポーツ、文化の地域に対するサポートの統一化、活発化した指導体制の整備をお願いしたい。文化協会、体育協会が設立され、各分野の拠点となっている。●「いなべ総合学園」における中・高一貫教育について、地元の関心を高めていってほしいです。単位制で様々な分野が学べるいなべ総合学園は人気が高い高校となり、地元の人が多く通っていた員弁高校とは全く違う高校となった。甲子園の出場で、全国にいなべの名前を広げ、市民のシティプライドの醸成の一役を担った。中・高一貫教育を推進する話があったとは、始めて聞いた。●子どもたちがより多くの世界観を学ぶ交流会というものについて、より一層の努力と研究を行っていっていただきたい。市内に2つ存在する、民間運営の放課後こども教室、自然科学室が運営する屋根のない学校が、様々な体験の場となっている。しかし、大安中央児童館がなくなり、員弁川対岸の大安地区に関しては、出前講座の充実が期待される。私見だが、こどもが歩いて通えることを考えると、土日の福祉バス運行や、小学校区単位での運営がベストと考える。●自然災害に対する対策を万全にしていただきたいと思います。3.11以後、防災の考えは一変したと言える。全自治会に自主防災組織の設置が理想的だが、令和元年9月議会の執行部答弁から、いなべ市の自主防災組織設置数は63自治会(118自治会中)で、災害時要支援者支援制度実施自治会数が44自治会、対象者は752人。新たなハザートマップや防災ガイドブックが作成され防災意識の促進に尽力している。書面・メールでの意見・ご提案●各地で特産品を開発しているので、それを生かした商工施策も必要だと思う。行政としてはやっと顕在化してきている段階。観光協会と連携を強め、特産品の開発やブラシュアップを加速させるとよいが。●市の主要施設に簡単に行き来ができるように主要道路の整備をし、市の循環道路、循環バスの運行等も考えていってほしいと思います。なかなか地理的に循環というのが難しいが、公共交通について課題を抱えたままの中、福祉バスは全市域で土日祝は運休となった。市役所等でイベントを開催しても自動車のない人はアクセスできない。また、次世代交通の実証実験すら行われていない。さらに、全公共交通を協議する協議体もない。●各町の現庁舎は立派です。これを精一杯利用できる行政組織体制を考えていってほしい。本庁業務は、議会・人事・庶務・財政等極力限定をし、支所は窓口業務のみとせず、インターネットを駆使して充実した支所とすること。旧庁舎での窓口業務が限定的となり、お金の支払いなどは、本庁舎でしか対応できなくなった。マイナンバーカードを使えば、コンビニで住民票や戸籍関係書類は受け取れるが、電子申請等は、現在でも遅れている。●文化事業に力を入れ、地域の連帯感を育ててほしい。文化事業は文化協会に委託しているが、市民の満足度等は深く、広範には調査はされていない。●住民の健康増進のために、年中使用できる温水プールを建設し、運動教室等を開催してほしい。20年前にすでに、温水プールを作ってほしいとの要望があった。かなりの運動が起きた事実も把握はしている。現在建設中だが、市民の健康増進のための施設になるか否かを、注視したい。運動教室は元気クラブやふれあいサロンが担っている。●今までに引き続き子どもに優しいいなべ市にしていただきたいです。 員弁は、ずっと、子どもに優しい地という認識があったのだろう。今こそ、それをしっかり踏襲し、さらに、子ども、子育て世帯に優しいまちを目指さなければいけない。さて、あくまで20年前の一部の市民の意見だが、20年後の今、私たちはいかに考え、この先、何をすべきか。