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Go for it! #16 終活アドバイザー 青木久美子(あおきくみこ)さん

2023.02.01 00:00

 「終活は、いざという時にご遺族が困らないよう心づもりすることだと思われがちですが、残りの人生をより活き活きとしたものにするための作業なんです。」そう話すのは、終活アドバイザーの青木久美子さん(高島市マキノ町)。


この仕事には、葬儀の形式や相続などあらかじめ希望を残しておく「エンディングノート」の作成助言のほか、セミナー講師や、必要に応じ各専門機関への橋渡し、自治体窓口への同行などの業務がある。


 竜王町出身の久美子さんは、学生時代は教育学部を専攻。障がい者の作業所(当時の名称)の手伝いや、養護学校のスタッフとして従事するなかで、子どもと関わる作業療法士になろうと専門学校で学び、資格を取得。

在原のお寺に嫁いだのを機に、そこからなるべく近い場所に生活拠点を置き、結婚生活がスタート。


当時は、専門的に子どもに関わる求人が近くにはなく、高島市内の病院に就職。その後、仕事と妊活との両立の難しさが日毎に大きく立ちはだかり、4年で退職を決意。


 「勿体無い生き方をしている自覚もありました。こうなりたいと思い、形にしていくと、ことごとく潰れていく感覚。自分の状況と他人を比べ、もやもやしたことも。」

凛と伸ばした姿勢と、払い切れない暗澹(あんたん)たる気持ち。そんなジレンマを抱えて過ごすなか、心身をゆるめて自己に向き合う「和みのヨーガ」に出会い、心身のバランスを取り戻すと、自身もインストラクターとなって活動を始める。

しかし、感染症対策が必要な情勢を迎え、活動が減少。


自分ではどうにもならない状況下で、今できることは何だろうと内観する日々。そんな折りにふと、あるお寺の奥さんが終活アドバイザーの資格を取ったという会話を思い出し「ああ、これだ。と」一念発起。


 そして2021年の8月、資格を取得。奇しくもその翌月に義父が他界。資格で得た知識が幸いし、彼女自身は焦らずに対応ができたものの、より身近な親族にとって想定外に早い逝去だったために、手続きや整理の多さに思いがけず苦労したのだとか。


久美子さんは、これまでの自身の体験や経験を通じて、伝えるべきことや情報のアップデート、今後の課題が明確になったと振り返る。

2022年9月に行われた公民館教室「和みのヨーガ教室」の様子。

公民館講座「今だから考えてみたい講座~終活~」にて。
より身近なこととして、終活に関心を持っていただければと久美子さん。


「案件には、テキストにはない回答が必要なケースもあり、地域、家族構成や立場によって、やるべきことが違ってきます。そのため100%のアドバイスは難しいかもしれませんが、お寺ならではの視点で、今後想定されることや、どこに頼るべきかをお伝えできると思います。」


 先日、両親にエンディングノートを渡したという50代の女性から、〈相互の意識に変化があり、家のさまざまなことが片付き始めて家族の雰囲気が明るくなった〉という嬉しい声が届けられたそう。


 久美子さんが相談者に提供するエンディングノートの表紙には、「らしさ」とタイトル。

思いを繋ぐエンディングノート「ら・し・さノート」は記入事項に沿って書き進めていけるもの。必要なことを書き出しやすいように作られている。



この冊子のなかの「何年後に何がしたいか」の項目に、ある90代の女性は「同級生3人で、いつの予定で旅行がしたい。」と、当の本人も驚くような想いが綴られた。

後日、メンバーのうち一人は残念ながら亡くなってしまったものの、遺族と同級生の3人で旅行が叶ったという。

様々な業種によって発行されたエンディングノートがあるが、このノートは様々な世代にも使いやすいと思います。と久美子さん。


生と死は、自他ともその関わりから避けられない。見送る人、見送られる人、それぞれの方に終活をサポートして安心を提供することができたら。


 「どんな年齢でも、ご自身が活き活きするために行動することが終活。書き出し、自身の想いを繋ぐことによって、周りができるサポートは、より具体的に進められます。そしてどれだけ主体的になるかも大切です。」と、力強く語った。


終活アドバイザー®️ 青木  久美子


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