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ファンタジーとしての前世

2018.04.25 15:00

ひところ、「前世」というものが流行し、正直なところ辟易していた。自分の課題をカルマと呼んだり、特別感を必死に求めたり、スピ系セッションが高額だったりすることなどがその嫌悪感の元だったのだと思う。輪廻転生とか昔からあるし、物語の設定として多層性が出るから良いわけで、そんな騒ぐものなのかと。

とはいえ好奇心の塊である私は、著名なワイス博士のメソッドの誘導催眠をYouTubeで見つけ、素直に試してみた。あっさり前世の記憶(私が作ったファンタジーだとしても)を見た。


1番最初に広がったのは、草原に秋の風が吹き、遠くに低い山、近くに白いテントの村の光景だ。乾いた空気、足元は革のサンダル、自分の腕(自分の身体の実感があった)が幾分骨ばっていて褐色だった。黒髪の女性で、とても静かで少し寂しくて優しい気分だった。空が高く広い。夕闇が迫ると、男達が帰って来て夕餉が始まる。いくつかの焚き火を囲み、騒ぐわけでもなく人々が和んでいる。素朴で優しく芯のある人達だと感じた。私もひとつの焚き火の前に座り、隣には逞しい弟が屈託無く笑っており、その顔を見た瞬間、昔の恋人だと直感した。その人と私は似ていて共通項も多く、でも筋の通った男らしさがあったのだが、そのファンタジーの中の弟が彼だと実感したとき、腑に落ちたものだ。記憶を更に辿ると、満点の星空の下、大地に立ち、私は1人で〝観る”ことを誓っていた。おそらくシャーマンだったのだろう。だから少し淋しくて、弟が人間としての絆を感じさせてくれていたのがわかった。


現実に戻り、あの風景を最初はモンゴルだと思いネットで検索したがしっくり来なくて、草原 低い山 乾いた空気 テント、等のキーワードで画像検索したら、見た風景そのままの画像があった。あれはネイティブアメリカンだったのだ。顔だちもアジアンのテイストだったのでてっきりモンゴルと思い込んでいたが、ネイティブアメリカンは日本人と同系だ。そういえば、子供の頃からミントブルー(ターコイズグリーン)の緑味のある水色を自分の色と感じていたのだが、それは御守りのターコイズのイメージだったのかもしれない。


他にも、ギリシアらしき国の図書館で大きな本を編纂している白髪・白髭・白い服の老人や、ローマらしき石造りの街の建築家で影のある男性や、中東らしきお城の孤独な夫人のファンタジーを見た。水に映った自分の顔を見た場合は顔も見えた。そして興味深いのが、それぞれの感情体験にフォーカスした時、納得感があることだ。そこに関わる人間関係も今の自分の人生に関わる人達だと確信がある。そういうものなのかもな、と思った。


前世というイメージも、面白いものである。


Image(C)夜の魚.2018