タイドラマ「Remember You / リメンバー・ユー」(2021年)Netflix おすすめ!キャストとあらすじ
おすすめ度:★★★★☆ 本格的サスペンスドラマ
NetflixでTrue CJ Creationsのタイドラマ「Remember You / リメンバー・ユー」(2021年)を観ました!アメリカから帰国した犯罪学教授タンワが、タイ警察の依頼を受け、特殊捜査班で連続殺人事件などの捜査を手助けしながら、自身の闇に包まれた過去と向き合っていく犯罪・刑事ドラマ。タイドラマではあまり見かけない(気がする)本格的サスペンスで、「どうして他人を傷つけてはいけない?」という恐ろしい問いとともに、冒頭からかなり不気味な展開。原作はパク・ボゴム主演の韓国ドラマ「君を憶えてる」。
ドラマ序盤から続く暴力的かつ残酷な殺人シーン。主人公のタンワが何者なのか、果たして善人なのか悪人なのか、よくわからないままどんどんストーリーが進んでいきます。不気味な犯罪者パトムカーンとの関係もはっきりしないまま、タンワは子ども時代の記憶と大人になった現代とを行ったり来たり…。もしかしてタンワこそが連続殺人犯なのか!?第7話くらいからどんどんおもしろくなっていきます。
犯罪学のスペシャリスト・タンワ
警察官の息子タンワは、アメリカで犯罪学を学んだFBI捜査官。タイに帰国してからは大学で犯罪学の教授として講義や著作で活躍している。タイ警察の依頼を受けて、連続殺人など特殊な刑事事件を追いかける特別捜査局の特殊捜査チームの相談役になる。犯罪心理にかけては、頭は常に冴えっぱなし。
タンワは子ども時代に深い闇を抱えており、そこがこのドラマの展開の主軸に。タンワが死んだ猫を庭に埋めたり、手に付いた血を洗い流す姿を目撃した警察官の父親は、タンワが成長して「怪物」(犯罪者)になることを恐れ、自宅の地下にある隠し部屋に軟禁していた。
幼い頃、タンワには仲良しの弟ミーナがいた。警察官の父親はタンワの中に潜む「怪物」がミーナに悪影響を及ぼすことを心配していた。しかし、それは…、結果的に…。このなんとも難しいミステリアスなタンワ役を、ペッチ・パオペッチ・チャオエンソク(Petch Paopetch Charoensook)が演じています。
特別捜査チームの女性刑事アーイ
タンワのことを以前から知っている特別捜査チームの女性刑事アーイ。実は子どもの頃に警察署でタンワに出会っており、ずっと犯罪学教授タンワの「ファン」だった。刑務所の看守だった父親は、子どもの頃にある事件をきっかけに失踪し、20年間そのまま行方不明に。しかし、真実は…。
超サバサバした好感度100%のアーイを演じているのは、ベレ・ケミサラ・パラデシュ(Belle Kemisara Paladesh)。男性しかいない特別捜査チームで唯一の女性刑事。タンワの少年時代の謎とそこに関わる連続殺人の解明のため、シリーズを通して大活躍します。
謎の弁護士ペイタイ
第3話で、殺人を犯した上院議員の息子の弁護人として突如登場する謎の弁護士ペイタイ。タンワとアーイたちが捜査する殺人事件で、いつも必ず被疑者(あるいは被告)の弁護士として現れる。ペイタイの担当した被疑者(あるいは被告)は、「法の正義」を盾にいつも罪を免れる結果に…。それは実は…。
謎多き弁護士ペイタイ役を、テイ・タワン・ウィホクラット(Tay Tawan Vihokratana)が演じています。いつもGMMTVのドラマシリーズで見るテイくんと違って、基本アイドル感はゼロ。シリアス度100%で笑顔もほぼなし。前半はどうもそこにちょっとした違和感がありましたが、終盤まで見るとこのキャスティングにも納得です。
タイ警察の特別捜査チーム
連続殺人事件など特殊事案の真相解明に迫る特別捜査チーム。タイドラマで愛すべき脇役俳優のひとりテー・ウィワット・ボウォンキラティカジョーン(Tee Wiwid Bavornkiratikajorn)がチームの先輩格ファブ役を演じています!ちなみにテーさんは「Bite Me The Series / バイト・ミー」や「オー・マイ・ゴースト / Oh My Ghost (OMG)」に出演。
チームを率いるサラワット警部は、特別捜査局の刑事部長の息子。その部長が処理した20年前の事件の真相をめぐって、ドラマはクライマックスへと向かっていく。
殺人鬼パトムカーンと「死体なき殺人」
幼い頃のタンワが、警部だった父親を訪ねて行った警察施設(おそらく留置場)で出会ったパトムカーン。殺人容疑で勾留されていた「怪物」。タンワに秘密を教え、タンワの秘密を聞き出した。そしてある夜、タンワの父親を殺害し、弟ミーナを連れ去った。タンワはこの事件を精神的ショックから少年時代の記憶を一部失ってしまった。
このドラマは、パトムカーンに始まり、パトムカーンに終わる。「死体なき殺人」を呼ばれるパトムカーンの犯行は「証拠」を絶対に残さない。タンワの父親殺害から20年、パトムカーンは今どこで何をしているのか…。因縁のパトムカーン役を、ロン・パタラポン・トオウン(Ron Patarapon To-oun)が演じています。
隣に住む法医学者コン先生
タンワの自宅の隣に住んでいる隣人として登場するのが、法医学者のコン先生。次々と起こる殺人事件で、死体で発見された被害者の解剖を行い、死因や死亡推定時刻を特定して特別捜査チームに協力している。「友達になりたい」とタンワを食事に誘うが、その狙いは実は…。そして、ペイタイとの関係やいかに…。
重要な役どころのコン先生を演じているのは、ベテラン俳優のアウン・ウィティヤ・ワスクライパイサン(Aun Witaya Wasukraipaisarn)。あの衝撃のドラマ「ニラの復讐〜美貌に隠された秘密」のベンジャン先生(ベン先生)です!
殺人犯の息子シャラス
第6話に登場する殺人犯の息子シャラス。タイドラマでお馴染みのナノン・コーラパット・クッパン(Nanon Korapat Kirdpan)が、とても繊細な役でゲスト出演しています。大学生のシャラスは、自分も父親のように殺人を犯してしまうのではないかと怯え、犯罪学の講義後にタンワに個人的に相談するが…。
その後、親友が起こした殺人事件に巻き込まれるも、「自分が殺した」と虚偽の供述をする…。というのも、その親友は自分の父親が殺人を犯した被害者の息子だと知っていたからだった…。このドラマを通して描かれる「加害者と被害者」の「犯罪の連鎖」を象徴的に表しているのがシャラスのケース。それは時間を超えて、ある日突然、再び起こります。
暴力の連鎖
このドラマで大きなポイントとなっているのが「暴力の連鎖」。犯罪を犯した者は、自分を逮捕した警察官を逆恨みし、報復のためにまた犯罪を犯す。犯罪の被害者は、その恨みを晴らすために犯罪を犯す。こうして、暴力の連鎖が延々と続いていく。それを是とするか非とするか。その答えは、何が正義で何がそうではないのかを判断するのと同じくらい難しい…。
殺人鬼パトムカーンは、母親の望まない妊娠の末に誕生した不幸な子どもだった。親や家族に虐待されながら、家の一室で息を潜めながら死んだように生きてきた…。そんなパトムカーンの抱える歪んだ正義感が、子どもを虐待する親や大人の殺害の元凶になった。終わらない暴力を終わらせるため、よかれと思い、次々と殺した。
なぜ人を傷つけてはいけないのか?
「悪人が善行をするとこうなる(裏目に出る)」ーードラマ後半、殺すことで「いいこと」をしてあげたのから「感謝されるべきだ」というパトムカーンに、ペイタイが言った言葉が個人的には非常に印象的でした。
暴力が「悪」だというのなら、その暴力をなくすための暴力はなぜ許されないのか?正当防衛が「正義」だと許されるというのなら、なぜ過剰防衛は許されないのか?わかるようでわからない司法と犯罪の狭間みないなところが、このドラマでは絶妙なストーリーで描かれています。
タンワが連続殺人事件を捜査し、少しずつ少年時代の記憶を思い出していくなかで、死んだと聞かされていたミーナも、行方不明のパトムカーンも、実は自分のすぐそばにいたことを知る展開に。父親に「怪物」と思われ、地下室に軟禁されたタンワが守りたかったものは何なのか。失ったものと引き換えに、タンワが最後に得たものは何だったのか。
終盤はハラハラ続きの展開に、息をつく暇もありません!