ルドンー秘密の花園|三菱一号館美術館 へ
前回の三菱一号館美術館で行われた「ルドン展」では、エンディングに展示されていた「グランブーケ」の前で涙を流すほど感動したことは、記憶に新しい。と思ったら、もう6年も前の話でした。あれから、London、Paris、NYの美術館でも「あ、ルドンだ!」と目にするようにもなりました。
ちなみに6年前の記事です。なんか、背中が痛いとか書いてある! 今でも、健康だけどルーティンで月2回通っているカイロプラクターの巨匠に出逢う、ちょっと前のことだったんだなぁ。
新緑のエネルギー溢れる三菱一号館美術館。前回から6年経過しているから、木々もきっと空のほうへと成長していることでしょう。
前回の展示の仕方は、黒の時代から、グランブーケへとつながっていくような構成になっていましたが、今回もそうでした。(笑) 時系列だからというのもあるでしょうが。
しかし、私自身が物の観方が細かくなっているので、全然捉え方が変わっていることに気付きました。前と同じ場所にいくと、過去の自分と今の自分の変化がよくわかるというものです。
ルドンは、若かりし頃「木」ばかり描いているんですね。目には見えない世界と人間を植物が繋げている、みたな考えをもっていたようです。「植物は、目には見えな世界の手がかり」と言っていたとか。
また知り合いに「植物学者」がいて、顕微鏡で目には見えない世界を見せてもらったり、また、ルドンが長い修業生活の初めに助言を得た画家コローに「毎年同じ場所へ行って、木を描くといい」とアドバイスを受けているんです。1D1Uに通じるものがある!
ダーウィンの進化論にも影響を受けています。そこからインスパイアされて、目玉のおやじのような、妖怪チックな絵も数々ありました。それは妖怪を描いていたというわけではなく、自然界の中からメッセージを受け取っているということなんだそうです。自然界の中にある、細胞などに耳を傾けていたわけですね。
「確か不確か」のモチーフを1枚の絵に描く日々もありました。木とサイコロが頭になっている人間(数字は確かなもの)が1枚に共存。不思議な世界観です。
この絵あたりから、カラフルな時代に。「あ、美しい蝶!」。この10時間前に蝶の夢を見て、絵に描いていたので、またもすぐに目の前に! 怖い。(笑) ところで私だけかもしれませんが、右にある岩はライオンに見えませんか?
さてさて、ドロシー城の食堂の絵を依頼されたルドン。その1枚が「グランブーケ」です。
これは?! (笑) RobertとGreggの服が逆じゃないか?!
それはおいといて、私自身がグランブーケを描いてみたら、リアルではない! ということにありありと気づきました。自然界からのメッセージを読みとって、感じたままに表現したルドン。このグランブーケのあとに、花瓶シリーズが幾つかあり、「どうなるか決めないで、感覚だけで描いていった絵」と説明されている絵もあり、芸術家ってやっぱりすごいな。 "Vase of Flowers Redon" と検索するとこんな風です!
幻想的な内面世界に目を向けたルドン。「目には見えない世界」をどこまで見えていたのでしょうか。ルドンはサインを受け取って、それを私たちに伝えてくれていたのでしょう。この後のシャガールにも続くものがある感じがしました。色彩感覚がなんとなく似ています。それにしても、男性がこういう絵を描くんですからね。フランス人はロマンティックです。(笑)