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ミニチュア・シュナウザーについて

2023.02.15 01:00

ミニチュア・シュナウザーはヨーロッパの紳士のような口ひげと長いまゆ毛を持ち、カットの仕方で思慮深そうにも、かっこよくもかわいくも見せることのできる、飼い主さんのオシャレ心をくすぐる犬種です。日本ではここ数年常に人気犬種トップ10位以内に入り、テリアグループの中では一番飼いやすいといわれています。


ミニチュア・シュナウザーの歴史

ミニチュア・シュナウザーはもともとそれよりも一回り大きなスタンダード・シュナウザーという犬種がルーツとなっていて、ドイツの農家で番犬やネズミ退治のために飼われていました。シュナウザーという言葉はドイツ語で「小さいひげ」という意味があり、追い詰めたネズミの反撃から顔を守るために伸ばしていたと言われている長いまゆげや口ひげからそう呼ばれるようになったと言われています。

そして19世紀後半にスタンダード・シュナウザーの中でも比較的小型の個体とアーフェンピンシャーとミニチュアピンシャーを掛け合わせて、ミニチュア・シュナウザーが作られました。

シュナウザーにはその他にもスタンダードよりも大きなジャイアント・シュナウザーという犬種が存在し、主に農家で荷車を引く作業犬として作られました。

ごわごわした硬い毛質とネズミを捕る目的で作られたこと、その体格から「テリアグループ」として分類されてはいますが、他のフォックステリアやウェルシュテリアなどのテリアと呼ばれる多くのワンちゃんはイギリスが原産であり、テリアよりももっと性格が穏やかであることから、他のテリアとは少し異なるといわれています。


体格の特徴

ミニチュア・シュナウザーは体高が約30センチ、体重が6~7kgと大きすぎず小さすぎず、とても扱いやすい大きさをしています。頑丈でたくましい骨格と引き締まった筋肉質の体は横から見たときにほぼ正方形をしており、敏捷さと頑丈さを兼ね備えています。

外見上の一番の特徴はその被毛で、硬くワイヤー状のトップコートと柔らかで密生したアンダーコートを持っています。四肢や胴体の下のほうは長く柔らかな毛で覆われていて、長くてふさふさの眉毛と立派な口ひげは知的な印象とどこかユーモラスな印象を与えます。

V字型の耳はかつて断耳をして立たせ、尾も短く断尾していましたが、近年断耳や断尾を禁止している国も増え、今では垂れ耳に長いしっぽを持つシュナウザーも増えてきました。


性格について

もともとドイツのミニチュア・シュナウザーはやや頑固で知らない人には警戒心を持つ番犬的な性格でした。それがアメリカに渡り、家庭犬として強い個性や癖を改良されてとても飼いやすい犬種になったと言われています。今日本で飼われているミニチュア・シュナウザーといえば、好奇心が旺盛で、遊ぶことやイタズラが大好きなとても陽気な犬種として知られています。元気で活発な反面、甘えん坊で人に頼ろうとすることもあります。

一般的にテリアは支配欲が強く、他の動物に対しては攻撃的であることが多いのですが、ミニチュア・シュナウザーの性格はいたって穏やかで他のペットとも比較的うまくやれるほうです。人の言うことをよく理解し、従順であるため、小さな子供とも仲良くなることができるでしょう。


お手入れについて

ミニチュア・シュナウザーのカットスタイルを維持するには月に1回はトリミングサロンに連れて行き、カットをする必要があります。シュナウザーらしいごわごわの毛を維持するためにはストリッピングといって指や特殊なナイフを使って毛を引き抜く作業が必要です。これはどのサロンでも行っているわけではなく、毛を抜くには痛みも伴うため、バリカンで短くすることがほとんどです。

シュナウザーはダブルコートのため、季節によってアンダーコートが生え変わりますが、あまり抜け毛は多くありません。しかし、毛が細く絡まりやすいため、背中部分以外の毛が長い部分は毎日ブラッシングを行い、口ひげやその他の長い毛はコームを使ってよくとかしてあげましょう。食事の後には口ひげが汚れるので、必ず食べかすをふき取り衛生的に保ちましょう。

元気で活発な性格ですが、同時に食欲もとても旺盛なので、やや太りやすい傾向にあります。毎日の食事の量と運動量には気を使い、時にはドッグランのような場所で思いっきり走り回るような運動をさせてあげると良いでしょう。


かかりやすい病気

ミニチュア・シュナウザーが遺伝的に持っている病気の一つに「尿路結石症」があります。これは尿の中の成分が結晶化してそれが次第に大きくなることで尿の通過を悪くしたり、膀胱炎などを引き起こす病気で、運動不足や肥満、ストレスなども発症を促す要因となります。もし、頻繁にトイレに行くようになったり、血尿や排尿困難が認められるようならすぐに病院で見てもらう必要があります。

そのほかにかかりやすい病気としては、停留睾丸(成犬になっても雄犬の睾丸が外に降りてこない)、肺動脈弁狭窄症(心臓から肺に流れる血管が狭いため、心臓に負担がかかる)、レッグペルテス(成長期の股関節部が壊死してしまい、後ろ足に痛みが生じる)、若齢性白内障(目の中の本来透明であるべき部分が白濁して視力がなくなってしまう)などがあります。少しでもおかしいなと思う症状が出たときには、早めに動物病院を受診しましょう。


おわりに

シュナウザーの特徴であるひげとまゆげから少し怖い印象を持たれることもあるようですが、その賢さや飼い主に対する忠誠心、インドアでもアウトドアでも楽しめる体つきと快活な性格から、現在では最高の家庭犬と呼ばれています。お手入れは多少大変なところもあるにもかかわらず多くの人から支持されているのは、こういった理由があるのですね。