国策としての鉄道事業
2018年で、明治維新から150年間になる。この150年の間、日本は富国強兵のもとで発展し、戦争を行い、また発展をしたが、結局敗戦し、そして経済発展を遂げていった。
あまりに長く感じるが、たかだか150年の時間である。大局的に見るととても短い期間で日本は多くの経験をした。
この間、英雄たちの選択
というNHK番組で、明治維新の鉄道事業についての特集が行われていた。大隈重信と伊藤博文が大蔵卿に属しているなかで、今後の日本の近代化のために鉄道事業を成そうというあらすじである。
当時、鉄道事業には莫大なコストが発生するため、日本政府は二の足を踏んでいた。特に大久保利通、西郷隆盛といった重鎮たちが猛烈に反対していたらしい。投資先、資金先を見つけるために大隈、伊藤の両名は、様々な投資家にアプローチする。しかし、アメリカには経営権を条件に突きつけられ、イギリスの投資家には契約で騙されそうになり、なかなかうまくいかない。結局、植民地化政策を見直していたイギリスの方針と合致し、なんとかイギリスの銀行から融資を取ることができて、無事鉄道事業はスタートすることができる。(とはいっても当初の列島を大きく敷設する計画ではなく、新橋から横浜までの短い距離にはなってしまったが)
インフラの与える影響は、現在の日本では、それが当たり前過ぎて最早、その実感を得ることができない。しかしこれからオリンピックに向けてリニアモーターカー、また首都圏の高速道路の整備などでインフラは、経済にどのような影響を与えるだろうか。
国土交通省が発表している社会資本の効果というツリーがある。
このなかで、社会資本の効果をフローとストックの二つに分類している。
フロー効果では、生活活動の創出と雇用促進があげられる。ストック効果では安全性、生活の質、そして生産性の向上効果をあげている。
おそらく社会資本の増大があっても、現代の日本を考えると、あまり効果はないのかもしれない。そもそも安全な国家であり、そもそもインフラは整備されている。雇用ももはや正社員の概念も希薄になり働きかた自体が見直されている今、雇用の創出自体の定義が必要になるだろう。
しかし、今後の物流は大きな変革を向けて迎えるに違いない。アマゾンが物流を抑えているのは、まさにそうであって、インフラの向上および社会資本の増大がダイレクトに影響を与えるのではないだろうか。
たとえばリニアなのか、ドローンなのかわからないが、そういった交通手段と倉庫と物流の流れを抑えることで、24時間発送が3時間着とかになるなんてという世界も近くなるような気がする。
ちなみに日本での鉄道の敷設により、新橋から横浜まで徒歩10時間の道のりがわずか1時間になり、9時間短縮されたらしい。
さてこれからのインフラが我々にどのような変化をもたらすのかとても楽しみだ。
もしかしたら、鉄道ではない道路ではない、空も使わないまったく新しいインフラが産まれるかもしれない。