清らかな金・中之島香雪美術館開館記念展「珠玉の村山コレクション」Ⅱ
大阪中の島の高層ビル「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」4階にある「中之島香雪美術館」
朝日新聞の創業者村山龍平の美術コレクションを所蔵する2番目の美術館として、今年3月21日に開館しました。
開館記念展「珠玉の村山コレクション」は、今年1年を5期に分けて、300点余りの作品を展示します。
2期のテーマは「美しき金に心をよせて」清らかな金と技術にスポットを当てています。
重要文化財や重要美術品を含め、前期後期合わせて40点が展示されます。
プロローグ 美しき金
厳かな金で彩られた仏教美術の数々が迎えてくれます。
重要文化財 《稚児大師像》一幅 鎌倉時代13世紀 絹本着色
弘法大師空海の幼い頃の姿とされています。童子を取りまく円は、現実世界ではなく夢の世界を表しています。童子の瞳はブルー。手を合わせて見つめる先には何があるのでしょうか。
大師が夢の中で仏と語り合ったという逸話を題材にしています。
第1章 金色の光
展示品を見ていると、金の変質しにくい不変の美しさを実感できます。
華やかできらびやかなイメージの金ですが、村山コレクションに見られるそれは、清らかでつつましやかな雰囲気です。村山龍平の人となりを感じることができます。
左《当曼荼羅》 一幅 鎌倉時代 13世紀 絹本着色
第2章 空間を飾る
部屋の間仕切りとして使われた屏風は、室町時代には六曲一双の形式が定着しました。金銀などで装飾される華やかな「金屏風は」輸出品として重宝されました。安土桃山時代から江戸時代にかけては、鑑賞を楽しめるようなきらびやかなデザインの屏風が多く作られるようになりました。
長谷川等伯《柳橋水車図屏風》六曲一双 桃山〜江戸時代 16〜17世紀 紙本金地着色
柳の葉に注目。春(右)は新芽の季節、ツンツンと短く跳ね上がる若葉が、時を経て(左)、風に揺れる長く伸びた葉に。屏風の中では、向かって右から左へと時が流れていきます。この作品の中では右から左に、春から夏へと季節が変化しています。
第3章 金の装飾
工芸品に施される様々な金の装飾は、見る者を魅了します。ときめく心は、時を経ても時代が変わっても変わらないのではないでしょうか。
村山龍平
朝日新聞創業者。武家の家に生まれ幼いころ剣術に励んでいた。のちに刀剣や甲冑に興味を持ち収集するようになる。その興味は日本や東洋の美術品に広がり収集するようになっていく。そのコレクションは、個人的な趣味というよりも文化財保護の観点から収集された貴重なものである。
開館記念展「珠玉の村山コレクション Ⅱ美しき金に心をよせて」
中之島香雪美術館で6月24日(日)まで開かれています。