日米の選手獲得ルートを比較する(読売ジャイアンツ対NYヤンキース編)
日本プロ野球球団と米・メジャーリーグ球団の選手獲得のルートを比較してみました。一般的にアメリカの方が、球団間のトレードやフリー・エージェント(FA)といった移籍が活発で、人材の流動性が高いと言われています。
今回はそれぞれのリーグで象徴的なチームとして、
1) 読売ジャイアンツ対ニューヨーク・ヤンキースの球界の盟主球団
2) 阪神タイガース対ボストン・レッドソックスの伝統の人気球団
3) 広島カープ対ヒューストン・アストロズのコスパ抜群球団
4) 福岡ソフトバンクホークス対ロサンゼルス・ドジャースのお金持ち球団
以上の4つのタイプの球団を比較してみました。
日米球団の選手獲得ルートの比較
前述の日米4チームの選手獲得ルートを割合にしてみました。対象選手は今シーズンの開幕ロースターで、日本は一軍登録選手(最大28名)、メジャーはメジャー契約の25人枠選手です。
日本の球団はドラフトで獲って育てる自前主義が基本です。球団の資金力によって多少の違いはありますが、ドラフトで獲った選手がそのまま1軍の試合にまで這い上がって出場するのが主流になります。国内FA権を行使する件数が少なかったり、外国人は枠の関係で多く獲っても出られなかったりするので、他所の球団から人材を獲るよりも育てる方向に進むのだと思います。文化的に育成の“美学”的な要素もあると思います。
一方でメジャー球団は、ドラフトに加えてメジャー球団間でのトレードが中心です。ドラフトや海外アマチュアFAなどの若手有望株を育てるルートも全体の4割弱に達していますが、トレードの割合が非常に大きいことが目立ちます。メジャーのFA制度は大変複雑なのですが、選手の移籍を促すように上手く出来ていて、これがトレードの割合を増やす要因になっています。
リーグ内の人材の流動性という意味では、米メジャーリーグの方が移籍は活発と言えますが、移籍が活発=「適材適所」とは限らないと思います。話がズレますが、メジャーの場合は「マイナー・オプション」など、選手側の権利も複雑に関係しているので、制度の仕組み上移籍が活発になっている面もあるように見えます。もちろん、マイナーで燻っている選手を移籍させるような良い仕組みが沢山ありますが、一方で日本は球団間のトレードが少な過ぎです。とは言え、メジャーほど移籍を多くしても、ファンにとっては文化的に受け入れるのは難しいのではないかと思いますし、ちょうど良い制度を探る必要があります。
読売ジャイアンツ対ニューヨーク・ヤンキース
今回は球界の盟主として読売ジャイアンツとニューヨーク・ヤンキースを見ていきます。
読売ジャイアンツは、国内で実績を残している選手(FA選手や他球団の外国人)を積極的に獲りに行くのが特徴です。今季の開幕メンバーで言えば、陽 岱鋼(日本ハム出身)、山口俊(横浜DeNA出身)、野上(埼玉西武出身)がFA獲得選手、他球団からの外国人獲得ではゲレーロ(前中日)が該当します。マギー選手もメジャーを経由していますが、元は楽天所属でした。その結果、広島などの育成型球団と比べるとドラフトで獲得した選手の割合はやや少なめです。
次にニューヨーク・ヤンキースです。この球団も読売ジャイアンツのように、ビッグネームの獲得に積極的に動くイメージがあります。今季は本塁打王のジャンカルロ・スタントン(前マイアミ・マーリンズ)を獲りに行きましたが、その獲得方法は“トレード”になります。日本での“トレード”のイメージは、出場機会の少ない選手同士の交換というイメージですが、メジャーでは主力級と複数の若手有望株選手とのトレードは頻繁に行われています。トレードの件数の多い/少ないは資金力の有り/無しとは直接関係ありません。トレードの内容の方が球団の特徴を表しています。
ヤンキースは、野手に比べて投手の生え抜きが少ないことも特徴です。開幕投手のルイス・セベリーノこそドラフトで獲得した選手ですが、田中将大やソニー・グレイは他球団から獲得した選手です。救援もトレードで獲得した選手が多く、ヤンキースが投手の育成が上手くないと言われる根拠に言われています。
以上、今回も当サイトをご覧いただきありがとうございます。次回は阪神対レッドソックスの比較です。