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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

第4回十字軍11-ビザンチンの逆襲奪回

2018.04.29 18:48

適当につくられた「ラテン帝国」は、さらにビザンチン全体を支配しようとした。ところが地方貴族の抵抗にあった。ここからは陸戦、攻城戦だがヴェネツィアは不得意。内部でも、洗練されていた正教文化と宗教を変える抵抗は相当強かった。それよりも、この黄金都市の略奪のほうがたやすかった。

首都を奪われたビザンチン側は、この事態を聖書に記された「バビロン捕囚」、つまりエルサレムを追放されたユダヤ人になぞらえた。彼らにとって聖都とはエルサレムではなかった。繁栄を続けていた黄金都市コンスタンティノープルこそ聖都だった。

実はビザンティンにもエルサレム奪回のチャンスはあったのだが、直前で止めてしまった。エルサレムよりもはるかにコンスタンティノープルのほうが聖都らしかったからである。ということで、脱出した皇帝がつくった「ニカイア帝国」に正教総主教をおき、権威を維持した。

チャンスはあっけなくやってきた。1261年7月、ニカイア帝国の将軍がたまたまコンスタンティノープルの傍を通りかかれば、何と守備隊は全員ヴェネツィア遠征に行って空だったのだ。それほど彼らは統治に関心がなかった。戦闘もなかったこの奪回を「ローマ帝国」はモーゼの「出エジプト」になぞらえ。その後200年もまだ生き残る。

下はラテン帝国がニカイア帝国に敗れたペラゴニアの戦い