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フェスボルタ文藝部

「施設K」(デイジー)

2018.04.30 11:38

12、13歳くらいの女の子

いつの日からか湖の小島の

施設に閉じ込められていた

目的は分からない

いつからか分からない

その施設では

朝、不思議な香りのアロマキャンドルの

中から1つ選ぶのが日課

41番のロッカーの鍵を渡され

幼女達が世話をしてくれる

その施設では

怪しく茂るシダ植物に

覆われている

おいしげる樹木

さわぐ草花

くるみを運ぶ男

ねむり猫が門番をする

ワニを狩る男達

どこから来てどこへ行くのか

分からない幼女達

部屋からぼんやりと窓の外を

眺めても湖しかうつらない

メランコリックな表情で オレンヂゼリーを

食べる

口と舌の快楽

テレパシーを送るものの

誰にも届かない

一生部屋に閉じ込められて

誰とも深く愛し合うこともない

やがて意識が朦朧としてくる

目を開けることができない

頭のなかで同じ風景が

次々流れてゆく

今はとある人と別れる

しかし後にまた出会うことになる

それはとても奇妙な形で

そう、とても奇妙な形で

そして、その女の子は

やがて数奇な病気にかかった

看護婦の幼女達が世話をする

薄れゆく意識で頭の中で

同じ景色が次々流れてゆくとき

そして、いずれ誰かと後に出会う

いずれは施設から出れる

いずれは?