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射撃の大学

エゾシカ忍び猟1

2023.02.19 23:39

どうも。いつもの私です。

だって私しか書かないので私に決まってるじゃないですか。

・・・


さて、今回は「北海道の冬の忍び猟」ってのを書いてみようかと思います。


そもそもやる人少ない

そもそも北海道は沢山シカがいるので、いるところに行けば普通に車で流してても獲れますから、私の地域ではわざわざ忍びやる人が少ないんですよね。

たまに山に入る人も見かけますが、大抵は「除雪してない林道をスキーで流す」みたいな感じで、忍びと言うよりスキー(スノーシュー)流しという感じ。

ガッツリ山に入って地形読んでスカウトして獲る人を私以外あんまり聞いた事がありません(いたらごめんなさい)


でも、特にクライミングする人や山スキーなんかで雪山に入り慣れてる方など、最近若い人たちの方が興味がある人が増えてきているので、ちょっと記事にしてみようかと思った次第です。


私が忍びをやり始めた理由

私は北海道に移住してから鉄砲持って狩猟始めたので、とりあえず初めは知ってる人もいないし、なんの知識もなく、とりあえず猟友会に入り、誰か連れて行ってくれる人を紹介してもらい、何とか始めたわけですが、とりあえず初めの印象は「つまらんな」だったんです。


車で流していた鹿を撃つ。

ちょうど、「釣り堀で釣りする」ような感じに思えたんですよね。


鉄砲撃つだけなら射撃場行けば沢山撃てるし、引き出しや解体とか大変だし、食っても大して美味くない(美味く料理にできなかった)うえに、ガソリン代すごいかかるし。

とにかく獲れても嬉しくもなんともなかったんですよ。

で、獲れない日が続くと、それはそれでさらに面白くない。


なんだこれはと。


どうせなら大自然の中で、鹿と知恵比べしたい。どんな時でもどんな場所でも、コンスタントに獲るチカラを身につけたい。自分が自然の中で勝てた時だけ獲る。そんな方が楽しいんじゃないかって思ってたんですよ。


で、山スキーみたいなのを買って、転んで雪まみれになる日々が始まったわけです。

大先輩方は「それが当たり前」

何十年か前は、「鹿はオスのみ、1日○頭まで」みたいな感じの縛りがあったらしく、その頃は鹿に出会うだけでも大変だったのだとか。


今ならわかるけど、オスはメスより少し高い所で、歩きづらいところや登りづらい所も平気で走っていくし、動きが読みづらい。さらにハンターも多くいて獲りやすい奴から獲られていくから、どんどん難易度は上る。

もう山奥に入っていくしかないし、猟期は今より短い。ほんの2ヶ月ほどが勝負。それが鹿撃ち、という感じ。ほんと大変だったと思うんですよね。


そんな中でデカく神々しいオス鹿に出会えたら、そりゃ嬉しいだろうし、トロフィー作りたくなる気持ちもわかる。

で、若い頃に散々苦労して獲ったから、今は楽に流しで楽しくやりたいという気持ちもわかる。


そして、そんな人達だからこそ、新人がただ「獲れた」ってだけじゃさすがに認めないし、ただ「山を歩ける」ってだけでもそれはそれ。

ここがわからないと、わかりあう事も、次の世代へのバトンタッチも出来ないのだな、という事もやってるうちに感じるようになりました。

苦悩の連続

ただ、私は移住組でスキーの経験なんて冷やかし程度。数えるほどしかありません。

地元の小学生の方が私より遥かに上手い。

また、元々インドアな人間で仕事も9割パソコンに向かう仕事を長くやっていて、足腰がバカ弱い。


そんなところからのスタートだから、まずシカに出会う以前の問題で、雪山を移動する事から大変でした(今もそうだけど)


スキーを一旦諦めて、スノーシューに切り替えなんとか歩けるようになっても体力が続かず、鹿になんて絶対に追いつけない。


地図はなんとか読めたのだけど、一人の雪山は怖いから、あんまり深く入れない。


なので、近所のあまりシカのいない小さな山だけに絞って、とりあえず土地勘を付け、その山なら一周できるようになり。

次は足跡を見つけて、ひたすらそれを辿る。


でもまだまだ、「撃つ」なんて程遠い、そんな日々が続きました。

1日の行動が全て把握出来た

とにかく足跡を追っても、追いつけない。いつまで経っても姿が見えない。

だからひたすら、「どこに居るんだろ」と考えながら、足跡ばかり見てるわけです。

すると、「ん?ここで木の皮食ってるな」「ん?ここで寝てたのか」「あ、ここで水飲んだな」みたいなのが、見えてくる。

2〜3頭のメス群れしかいないぐらいのところだから、1日の流れが足跡でわかる。

実際にそこにいて、その痕跡が残ってる。そこにある答えが、見えるようになってくる感じ。


ただわからないこともあり、例えば沢に入って足跡が消えた奴。これされるとそこから追えないわけですよ。

こんな時に、帰ってから大先輩に聞いてみるわけです。

「沢に入って足跡消えたら、どう追ったらいいですか?」みたいに。


すると、「入った角度の方に足がまた出てくる」とか、「逃げてる時は、その逆に向かって止め足みたいなことをする」なんて事を教えてくれるわけです。


で、早速行ってみると、確かに「入った角度」の方にある時と、その逆に少し慌てて出ていく足がある時と、どちらも確認できて「なるほど」と。


で、きっちり1個体の1日の「どこ」で「何」をしているのか、距離感や速度感、天候なんかを含めて、シカの1日の行動がまぁよくわかってきたわけです。


先読み出来るようになる

そうこうしていると、「ここに朝イチの下る足跡があるな、、」と言うのを見つけたら、ルートはわかっているので、「じゃあ今は沢の下の方にあるはずだ」みたいなのがなんとなく予想できるようになって来たんです。

そこで、自分の歩く速度とシカの移動速度を大体計算すると、自分がどこに向かうとちょうど出くわすはずの場所ってのが割り出せる。


自分はまだ足が遅いけど、先回りできるなら出会えるわけです。


なので実際にそこに向かってみる。

緊張の一瞬です。


すると予想が見事的中する時があって、もう心は狂喜乱舞しちゃうわけです。

「あぁ、知恵比べに勝ったぞ!」みたいな。


でも実際はまだそこまで当たらず、「あれ、まだ来てないのかな?」と待っていても来ない時がある。

多分風向きで匂いを取られたり、地形で音を取られたりしていたんですよね。


なので、

追うルートを考える時、風下から視界や音を遮りながら近づくルートを取るように考え、時にはかなり遠回りをしてみたりしていると、予想的中率が8割近くまで上がってきました。



撃たない狩猟


こうなると、もはや撃たなくてもいいんですよね。わたしは射撃で100m以内でならほぼ確実に当てれるし、冷凍庫も大体すでにいっぱい。獲る必要が何も無いから、そこで鹿をスコープに入れ、撃たずに帰る、なんてことが増えてきました。


狩猟は「獲物を獲るもの」と思っていたけど、今私の中では「獲物がいつでも獲れる状態を作る事」になってきたんですよね。

この差は、引き金引くか引かないかの違いしかないですから。