① 最初の音には敢えて和音を付けませんでした。西洋音楽のアウフタクト(1小節目が始まる前に付属された音)は、例えばThis is a pen.の a や、in the morning の in the に当たる弱拍、次の音に飛び込むための踏みきり台みたいなものだからです。だから、弱く弾かないと、曲の拍子がぜんぜん分からなくなって、のっぺらぼうな演奏になってしまう。苦労して弱く弾くくらいなら音の数を減らしてしまえばいい!というのが私のもくろみです。
② Vの和音ですから、レファ♯ラにしても良かったのですが、ここは敢えて、第三音のファ♯を抜きました。すると、ホルン5度という、ホルンの二重奏でよく出て来る「通りすがりの宝石のような完全5度」が現れます。森や草原の感じをよく出してくれますね。
③ ここは和音の下のミの音をタイにして、一度だけ弾けば良いようにしました。ライアーは響きの長い楽器です。一度弾いた音は止めない限り、1小節間は響き続けます。ですから、私は、1小節内で同じ音を2回弾くことは極力避けます。
① 先ほど説明したように、アウフタクトを次の小説の1拍めと同じ音数の和音で始めると、それを弱拍として表現するのはかなり難しいです。
② ここで使われている和声進行は I→II→I という、モダンな和声進行です。曲の後半にもドッペルドミナントという、現代のポップスなどでは当たり前のように使われている和音が出て来ます。もちろん、敢えてそのようなモダンなアレンジをしたのならばそれも一つの方法です。しかし、前述のようなこの曲の背景を知ると、私はどうも違和感を感じてしまいます。
③ オクターブで並行して音が動いています。和声進行としては全ての音が同じ方向へ移動しているわけではないので、和声学的規則違反ではありませんが、あまり吟味された結果とは思えません。