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生島尚美さんエッセイ / 新・バリ一代ドタバタ記 (メルマガvol. 59より転載)

2018.05.02 08:52

第5回 sisi建築ラッシュ5年間で、何度も「度肝」抜かれることに!

著者近影、お客さまとです。未成年の方にはちょっとボカシ入れています。 

ちなみに吉本ばななさんとお友達です。



  大きな真っ白なマットレスが新居に届きました。 


  田んぼの神様 Dewi Sriさんと井戸の騒動が終わり、まだまだそろっていない家具も多いけれど、家族4人(当時娘は2歳、息子は0歳)で、新居で川の字になって安心して(そこそこ)眠ることができるようになった!!


 「あぁ、やっとこうして家族皆で眠れるようになったね」 

と思った矢先、その川の字の頭の真上! 目線の先、天井に何か違和感が。それはまさに「冗談」というか「劇的」なタイミングで目に入って来ました。 


 マットレスと同じ、新居らしく真っ白に塗られた天井の、まさに私たちの頭の位置の所に何やらぼんやりとシミが「呪い」のように広がっているではありませんか。直径約20cmぐらいの「それ」を見つけた私は、あまりのタイミングに「それはないわ、幻か」と思ったほどでした。


  夫が呆然として発した言葉、それは「ありゃ、漏れてるわ」。真っ白な輝くばかりの天井が白かったのは何日間、いや、何時間だったんだろう、とぼんやり思ったのを覚えています。


  まだまだ続く細かい工事のために毎日大工さんが毎日やって来る(いや、ほぼ同居状態だった)ので、天井の異常を即伝えました。案の定、またどこか海外に遊びに行ってしまっていた設計士さんとは連絡も当然のようにつかず… はて、その「シミ」の正体??開けてビックリ!!!は、せず、「当然そうだろうな」と思っていた「配管ミス」。


  配管ミス、というよりも、配管自体は普通に行われていたのですが、接続部分が緩んでいて、私たちの寝室だけではなくすべての「接続部分」で水漏れが起きていました。


  あはは そりゃ漏れるよね〜〜〜 わははは。「新築の家には住むな」というのはインドネシアの常識。身を持って、我が家でもって確信した私たち夫婦でした。



  バリの人は前にもどこかに書いたかもしれませんが、はっきりと明確に認識しているのは「明後日」ぐらいまでなのだと私は思っています。それはこの島で暮らし、生きて行くにはそれで良い、いや、それが「正しい」のだからそうなっているのでしょう。


  しかし、当時 目の前で2階のテラス部分のタイルをたっぷりの時間をかけてきれいに貼り終え、その数日後、手すりをつけるために一番外の列のタイルを剝がしているのを見た時は「さ、さすがに…」と驚愕したものでした。怒るでもなく「ここ、せっかく貼ったのにもったいないね」と声をかけた私に、大工さんたちは悪びれることもなく、「手すりつけないとダメだから、ははは」と分かってないな、奥さん、という風に優しく教えてくれました。  その時 既にバリ島としっかり関わって10年の私。すでに権威になったぐらいに思っていたのに、この自宅作りから続くsisi建築ラッシュ5年間で何度も何度も「度肝」抜かれることになるとは!


  その「バリ島での自宅作り」、そして引っ越しは私たち家族にとっては一大事でしたが、sisiにとって大きな節目となったのは翌年2010年の「本店作り」だったのではないでしょうか。  様々な事情があり、今までsisiは何度引っ越ししたことでしょうか。それは「同じ場所が延長して借りることが出来なかった」「延長したい大家さんではなかった」「時勢が変わった」「飽きた」...などなど、その時々でいろいろな理由があるのですが、割と頻繁にお店を移動させたり開けたり閉めたりしていました(とは言え、3-5年単位でですが)。


  sisiはその時、奈良に1店舗、クタに一店舗、ウブドに2店舗、そこそこツーリストがいらっしゃる通りにお店を持っていました。そして検品をしたり在庫をかかえているオフィス&ストックルームがありました。ひとつのお店を閉める予定があったのもあり、次のお店の事を考えていました。

sisi coming soonの文字が。


 うちも10年経ったことだし「オフィスとお店が一緒になっている大きな場所が欲しい」と思うようになっていた私はウブドの中心の人通りが多く、開けた日からたくさんのお客さまが来て下さる場所に次のお店を開けてみたい、という2つの思いを天秤にかけていました。


  バリ島で暮らしていると(歳のせいもあるでしょうか?)、『ご縁』というものをとても感じます。人であったりものであったり。


  なので、その時もきっと、今の私たちにとって「必要」な場所とうまく出会うのだろう、と思ってあまり無理せず、目に入るところをふらりと見に行ったり緩く次のお店を探していた ある日のことでした。その「出会い」がやって来ました。