ご飯にまつわる古民具
今回は、ご飯にまつわる古民具を紹介いたします。
1 はじめに
私が子供の頃、昭和40年代初め頃まで台所にはカマドがあり、祖母や母がカマドで釜飯を炊いてくれたました。
釜飯に残る祖母や母の愛情を、今でも思い出します。
その後、台所の調理器具は、土間のカマドから改築した台所のガスコンロに変わり、炊飯器もガス炊飯器や電気炊飯器へと変わって行きました。
2 釜
カマドの火加減には経験やコツがあり、時々目にした釜飯のお焦げも、今では懐かしい思い出です。
3 お櫃(お鉢)
お櫃(ひつ)やお鉢(はち)の言い方に変りはないと思いますが、
写真画像のとおり
若干異なる2つの形があり、懐古庵では、2種類のお櫃を展示しています。
カマドの釜で炊かれたご飯は、お櫃(ひつ)に移してから食卓に運ばれました。
そして、母親が、座卓を囲んだ家族の茶碗にご飯を盛ってくれました。
お櫃は、吸湿性に優た木材を使って作られている様です。
お腹が空(す)けば、お櫃に残ったご飯を茶碗に盛って、味噌汁の残りを暖めてから ぶっかけて頂いたものです。
夕方、遊び疲れて家に戻ると、隣の家で焼いている七輪の塩マスの臭いが、たまらなく美味しそうだったのを記憶しています。
古き良き、昭和時代です。
4 藁いずみ
藁(わら)いずみは、お櫃ごと中に入れて保温する「お櫃カバー」です。
昔は何処の家にも有りましたが、今では生産者が少なくなり、貴重な物になっている様です。
5 おわりに
今では、どこの家でも簡単にご飯が炊けて保温できる電気・ガス炊飯器があり、便利な時代になりました。
私が小学生の頃には、中庭には燃し木の山がありました。
その燃し木をナタで割り、お風呂も薪(まき)で湧かしていました。
夕方になれば祖母が、カマドに薪を入れて夕飯の支度をしました。
薪割りは、嫌ではなかったので、遊び感覚でやらされました。
祖母の得意の料理は、〝おけんちゃん〟。
姉が、時々、祖母の料理にクレームを付けて、
「お婆ちゃん、また、おけんちゃん?」
と云って、私(弟)の気持ちを代弁してくれました。
この年になれば、祖母も母も過去の人。
食にまつわる「愛しき日々」です。
懐古庵主