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本屋でんすけ にゃわら版

ひとつの本屋で起きたこと。

2018.05.03 03:00

猛烈にご無沙汰してしまいました。

でんすけのかいぬしです。


ご存知の方もいらっしゃると思いますが、2018年3月31日で10年務めた丸善キャンパスショップを退職しました。


さて、だいぶ気持ちが落ち着いてきたので“ひとつの本屋”であった出来事として書いておきます。

長くなりますし、若干暗い話なのでそういうのが苦手な人は回れ右!

よろしくお願いいたします。


************


実は退職したのは私だけではない。

ベテランスタッフ(勤続10年20年含む)7人が退職した。

12月に入った新人数名もほとんど辞めた。

理由はほとんどが『店のリニューアルで職場環境が悪化して疲れた』というもの。


そもそも店のリニューアルで店の面積が半分になると言われたのは2017年3月中旬。

(店の縮小は丸善側の決めたことではありません)

4月上旬からはじまる大学売店の1年の売上の大部分をしめる絶対に失敗できない繁忙期・教科書販売が間近に迫っていてスタッフがピリピリしていた頃だ。

それから、リニューアル自体は良いと思うし、スタッフの意見を聞いてコミュニケーションとりたいのはわかるのだけど、“今は”教科書販売が一番大事!失敗できないんです!と何回言ってもリニューアルすることが“楽しくなっちゃってる”丸善キャンパスショップの本部は繁忙期の最中だというのに『どういう店にしたい?明日までにデータ作って!』『店キレイになるよ、よかったね~、この紙に棚の配置書き込んで?明日までにね。』と本部の人がしょっちゅう来て、ある意味営業妨害してくるので店長含めスタッフのフラストレーションは大きくなっていった。

しかもそうやって繁忙期に本来の仕事を投げ出して考えた配置やデータが全く考慮されない状態で返ってくるもんだから尚更だった。

これに費やした私たちの時間はなんだったのか?

人に意見を求めるけれど、聞かない。そういう本部に信頼感はほとんど無くなっていった。


★★★


繁忙期も終わっていよいよ棚の構成を考えなければならなくなっていた頃、私は『岩波文庫はなるべく少なくするように』と言われてイライラしていた。

岩波書店の本は基本的に返品できない“買切”という制度。

でも大学の書店では教授が大好きだし、授業でも使うし、他の出版社の文庫よりはるかに売れる。

そりゃぁ選書が悪けりゃ在庫が増えるけど、2ヶ月ごとに100冊は注文しているけれど、ほとんど売り切れますよと言っても『もう注文はしないで在庫だけでまわして』と言われたのでカチンとキてその日のうちに100冊近く注文した。

(悪い店員だな、真似しないように!)


それもほとんど売り切れた。でもそういう店の特徴や実績は関係ないそうだ。

リニューアルで店は半分になるけれど、私が最近勉強している海外文学の棚も小さくていいのでつくろうと思っていた。

でも本部の人に『君には選書できないだろうからちゃんとした人にやってもらって』と言われた。

なんかもうすべてが空しかった。実力とか今までやってきた活動とか何にも信用されてない。


★★★ 


仕事中に店の固定電話に『あ、(私の本名)さん?あのさぁ、お酒飲める?』という質問ダイレクトの電話があった。

名前も顔も公開せず活動してきたので、声で私だとわかるなんて絶対会ったことあるはずなんだけど、あまり聞き覚えのないおじさんの声だった。

私『失礼ですが、どちら様でしょうか?』と聞いても『いや、そうじゃなくて、お酒飲める?』と繰り返すおじさん。

私が少し強い口調で『飲めませんが?』というと『あぁそう、じゃあ飲み会行けないね~、じゃあいいです(ガチャン)』と電話は切れた。

何だったのだろう?

私と親しい人は私がザルみたいな顔してアルコールアレルギーだということを知っているから、こういう質問は来ない。

さすがにちょっと気持ち悪くなって本部の人(4/1時点の店長)に報告したら、返ってきた答えが『ストーカーと結婚する人もいるよ?』だった。

このセクハラはやめよう!っていうご時世に、いきなりクソみたいな持論を披露されてあきれてしまった。

あまりに『なに?惚気?』みたいな雰囲気で言われたので報告しなきゃよかったと思った。


このころ自分の手入れが出来なくなって、化粧水やトリートメントのフタが開けられなくなり(面倒とかそういう感覚でもない。たぶん精神的なもの)、背中まであった髪がボサボサになり肌も荒れ始めたのをたまたま見た鏡で気付き驚いて、その日のうちに短髪にした。

あれは鬱への入り口だったと思う。危なかった。


★★★ 


リニューアル中は学内の臨時部屋で事務だけの営業。

もちろん専門学校や検定の受付ができないのでクレームが来た。

あたりまえだ。私が学生の立場だったら不便だと思う。

予想はしてたけど、思ったよりいろんなことが制限されての営業だった。

本部に報告してもほとんどリアクションなし。

“上”がやったことのリスクをかぶるのはいつも末端だ。


★★★ 


後期の教科書販売とともにリニューアルオープンしたために、スタッフは教科書販売が大事!丸善キャンパスショップ事業部の本部はかっこいいリニューアルが大事!という食い違いが発生した。

店の面積が半分以下になってただでさえ教科書を置くスペースがないのに『洋書がいっぱいあった方がかっこいい』という理由で洋書の棚が3スパン。

教科書や毎年かなり売れる簿記のフェアを置くはずだったイベントフェア台も全部洋書。

『教科書は教科書販売中に買ってもらえばいいし、店には置かなくていい』という指示だった。

本部は他店に自慢するための写真をバシャバシャ撮ってご満悦だったけど、それから教授から『教科書が継続して置かれないのはどういうことだ!』と何件も電話があって、その度にスタッフが謝罪と説明をして本部には報告していたのだけど、それも本部からのリアクションはなかった。

そんな中、店長に『本部からの命令なんだけど、働き方改革で、週5の出勤日を週4にしてほしい』と言われてもう本気で辞めようと思った。

本部の『かいぬしさんは唯一残業しない人だから』という意味不明な理由も『だから週4にしても仕事終わるでしょう』という意味らしい。

この多く使っちゃった人件費を真面目に働いてる人を休ませてチャラにさせようというのは結構前から何度かやられたけど本当におかしいと思う。


★★★


2017年11月に1人、12月に3人、2018年1月に2人退職。

日に日に棚が荒れていく。

私は最後の二人が無事に退職するまで手伝えればよかったので2月から週2の出勤にしてもらった。

(退職を3月末に設定したのは担当している棚のフェアの終了に合わせたため)


新人サンに『新店長は新しいスタッフは20代の若い店にしたいんだそうです。』と言われ、知識より若さを取る理由がわからなかった。

正社員でも全く問題ないくらい知識があって自分で行動できる人が揃っていた。

それを“バイトだけでまわってる簡単な店”という捉え方をされてしまったようで、20年法律の本を担当していた人でも新人で補えると自信満々に思ってる新店長の感覚は今でもわからない。

結局、教科書担当も辞めてしまったので2018年度の教科書は本部でやることになった。


★★★


3月上旬、本部の営業さんに『店長になってほしい、一度出した(私の)退職届を一旦ひっこめさせた』と言われた。

ベテランスタッフがほぼいなくなって、さすがに限界を感じたらしい。

私は『勝手すぎるし、虫がよすぎやしませんか?』と言った。それは認めてたし、他のスタッフが辞める時に止めたけどみんな辞めてしまった、と。

どんな止め方をしたのかと思ったら、『辞めないでよ』と言ったらしい。

そんなの子供でもできるだろう。部活じゃないんだから。お金の交渉を何故しないのか。

私たちはアルバイトだ。

東京の最低賃金で働いてる。

その賃金でこの傾いた店の店長をやれと?

冗談じゃない。

もっと高額な時給をくれたら店長補佐ならやってもいいと条件を出しても提示された時給は納得できるようなものじゃなかった。


★★★ 


本部の教科書の発注がとんでもなく酷くて、出勤する度に出版社と教授からクレームをもらうようになった。

発注ミスが多々あり、 どうなってるのかその都度本部にメールし対応してもらったが、私が言った通りに発注数を出した新人の予定注文数を新店長(ストーカーと結婚する人もいるよ? の人)が倍の数にして発注していたせいだった。

そのミスのひとつに、本来100冊注文するAの本を800冊・800冊注文するBの本を100冊注文したものがあって、教授が『どういうことなの!』とご来店された。

私もそれがどうしてそうなってるのかは本部に聞いてみないと本当にわからなかったので『教科書担当に確認してご連絡します』と対応したのだけど、その他にも『最近この店の対応がおかしい!店長と副店長が辞めたなんて聞いてない!普通挨拶に来るんじゃないの?あなたベテラン辞めさせてどうゆうことなの?教科書販売をなんだと思ってるの!』と言われて完全に心が折れた。


リニューアルした時に『店を小さくしてどういうつもりだ!』と怒られたのも私だ。


私が店を小さくしたわけじゃない。

私がベテランを辞めさせたわけじゃない。(むしろちゃんと挨拶しなよ!と何回も言っていた)

私がミスしたんじゃない。


もう気づいた時にはその教授に『私だって同じ気持ちですよ!努力しました!でもバイトの分際じゃどうしようもできないんです!』と言い返して店頭で死ぬほど泣いた。

先生もびっくりして『何も知らなくてごめんなさい』と肩をさすってくれたが、もうこれ以上誰かに何か言われたら精神的にもう働けなくなりそうだと感じて自分の持ち物と仕事を片付けに行くだけの2日間を残して次の出勤日から人生初の登校拒否をした。


★★★


本人には何かしらの計画があって、私たちが思い通りに動かなかったのかもしれないが、ほとんど新店長たったひとりの無茶なマネジメントと心無い言動に疲弊してスタッフがいなくなってしまった。


退職までの出勤日があと2日という時、出勤すると支店長(店長の上司)が来て、私に『じゃあ残ります』と微妙に言わせようとしてるんだろうなという内容の話を延々聞かされたので全部『頑張ってください』と返した。

その最中に、『あ、にゃわら版のことだけど、僕の方で確認書を出しといたから』と言われて私は血の気が引いたのだった。


【下の記事に続く】