空の色と風の音

富士見シネマvol.01

2018.05.04 00:25

ゴールデンウィーク。

僕の実家は商売をやっていたので子供の頃の記憶の中にゴールデンウィークは無い。

どこに連れて行ってもらったとか、家族で何をしたとか、思い出も特にない。

だからといって悔やんだことはない。

大人になってから充分楽しい思いをしているし、わざわざ過去を思い出して残念がることなどもちろん今もない。

なのにうちの両親は事あるごとにこの子たちにはどこにも連れて行ってあげられなかった、と、口にする。

きっとこの町にもそんなお父さんお母さんがいるんだろうな…。

ふとそう考えた時、町のリビングとして空の色と風の音が出来ることを考えてみた。

賛同してくれるNPO法人ゆるゆるma〜maさんや、地元に新しくできた仲間の協力のもと、「富士見シネマ」を開催した。

当日になっても申し込みの電話どころか問い合わせすらない(汗)

町は静まりかってるし…こんな事あまり求められてないのかな…?そう思いならがら約束の時間をむかえた。

四角の真ん中にあるスクール。

こっちの通りから向こうの通りからスマホで地図を見ながら、チラシを手にしながら、歩いてくる親子連れ。ママチャリにお子さんを乗せて列になってやってく集団。

大げさでなく、体の震えが止まらなかった。

気が付くとスクールの中は子供たちで溢れ帰った。小さなスペースはまるで子供たちの運動場。元気な声がこだました。


夕方6時オープン6時半開演。

入場無料、だってリビングですから。

持ち込み自由、食べて飲んで、寝転がってお気に入りのクッションも持ってきてね、そんな約束事を全部守って大きなクッションと大好きなお菓子ジュースを持って子供たちが集まってくれた。

6時半にドラえもんが始まるとあんなに騒いでいた子供たちが真っ暗な部屋で写し出される壁いっぱいの映画に、スクールの大きなスピーカーから流れる音に、ときに笑い、時にスクリーンに話しかけ、楽しそうに映画を見てくれた。


色んなゴールデンウィークを過ごして来たけど、間違いなく、こんなに充実して満ち足りたのははじめてだ。

自分が借りたこの場所が誰かの大切な場所に、思い出の場所になっていく。

これからも定期的にやっていこう!

参加のみんな、本当にありがとう!