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近藤昇オフィシャルサイト

自分でする仕事と人に依頼する仕事の区分と考え

2023.02.18 07:30

仕事を自分一人で完結する場合と、人に依頼して完結する場合、どらちが難しいだろうか?


ケースバイケースで簡単に答えられるテーマではないが、仮に、自分がある分野のエキスパートとして自他ともに認められる状態だったとして、それを人に任せることから考えてみる。


当然、自分にはプロとしての納得できる品質、出来具合などの尺度がある。もちろん、こだわりという見えないものも加味される。


この仕事を誰かに任せて、自分が手掛けるのと同等以上の結果を出すことを目指した時にどうするだろうか?

単純に考えて、自分以外でそういうレベルの人を探して、委託すれば済む話であるが、現実のビジネスではそんなことは簡単には実現しない。

コスト度外視であれば、成り立つ可能性もあるが、そもそも、自分以外に委託するにしても、委託料には限界がある。そうすると、自ずと、社員に任せようと言う選択になる。


デレゲーションという言葉がある。

仕事を任せる時の基本的な考え方だが、自分が何らかの責任者になった時に、仕事を部下や組織の誰かに任せて、結果を出すことが求められる。仮に自分が10のパフォーマンができるとして、人に任せることで、自分が基点になって、チームで100や200のパフォーマンを出すことを求められる。

その期待に応えることはとてもハードルが高い。


最初は、人に任せて仕事をスタートしても、どこかで問題が発生したり、進捗遅れ、仕事の品質の劣化などが起ったりすると、たいていの人は、自分が引き取って、やってしまう選択をする。


誰しも経験があると思う。自分がやった方が早い、自分がやった方が質が良い。こういうことは、日常茶飯事に発生することだ。


ただ、こういうことを繰り返していると、極端な話し、いつになっても、自分以外の人の仕事レベルは向上しないし先につながる経験もできない。そして、いつまでも自分がする範囲だけの仕事しかできなくなる。


私が20年ほど前に読んだ本がある。

そのタイトルは“はじめの一歩を踏み出そう”である。パン職人の話である。一人の秀逸な職人が、複数店舗展開をするにはどうするかのテーマで、少なくとも自分以外のもう一人のパン職人を育てないといけない。

ところが、なかなか任せることができない。それを乗り越えて初めて、自分以外の人に、自分の納得できるレベルの仕事を依頼することができる話である。


もちろん、仕事をずっと個人で楽しむやり方もある。これはこれで、選択の自由なので、自分の技や仕事レベルの向上に神経を集中すればよい。


一方で、人に任せて仕事をしていきたい人は、越えなければいけないハードルが幾つかある。その第一歩が、人に任せてみることである。

最初は、ほとんどの場合、期待外れか失敗に終わる。だけど考えてみたら、自分も駆け出しのころは、そういう期間と機会があったはずだ。

それを乗り越えないと、一人前にはならない。とすると、任せる側と任さされる側の信頼関係が不可欠なことが分かる。

重要な局面で、任せて失敗すると、任せた側が必ず、どんなに負荷がかかろうと修正、回復する用意が必要だし、絶対にそれができないと、仕事そのものを失敗してしまう。


そういう意味では、仕事を任せるレベルの人は、いざという時に、余裕をもっていないといけない。任せたことが順調にいかなかったときのリカバリーする余力が必要な訳である。

これは、単純に、当該の仕事スキルに長けているだけでは不十分である。

自分自身に、人を育てると言う信念と根気が必要になる。

仕事を個人ですることも意味があるが、人に任せてする仕事は、その何倍もハードルが高いのである。


以上