難所1の2:和音跳躍~ネガティブスペースのとらえ方
今回は「難所1」の2つめ、
和音の跳躍
についてまとめます。
この曲の中間部は、このような楽譜になっています。
苦手なのは、主に左手で弾く部分。
しかし、ここを美しく弾かずしてこの曲の美しさを引きだすことはできません!乗り越えようと日夜練習に励んでいるところです。
この本の161ページ〜、
ネガティブスペース
の捉え方を取りいれます。
美 しい刺繍をほどこした布が手元にあるとして。「表」には、細部にわたって表現されたイメージがはっきりと見えています。そしてこの布を裏返してみると、不 揃いで混沌とした糸の面が現れます。ただ、この裏の不揃いな糸は、無意味に混沌としているのではなく、刺繍の一針から次の一針へと繋がっている模様です。 美しい刺繍は、表と裏が一体となって成り立っているもの。この裏側の「対象物の間にある空間」がネガティブスペースです。
美しい刺繍は表と裏の両方があって初めて形をなすのと同じように、ピアノも「表=音を弾く」と「裏=ネガティブスペース」の双方が合わさって曲という形をなすのです。
跳躍を滑らかに弾くには、楽譜の黒=音符 だけでなく、楽譜の白=空間 も「弾く」というイメージに変えることが大切。ネガティブスペースを無視せず、意図を持って作り出します。
なるほど。空間を描く弧、ですね。
そういわれると、これまでの私は黒い部分=音符ばかり意識して弾いてきました。
今までの弾き方で弾いたときのネガティブスペースは、こんな感じでしょうか。
・ダメな例
左手親指にミスタッチが多い傾向がありました。
さて、これをネガティブスペースを意図的に構成してみます。
楽譜をよく見ると、左手の最高音(小節はじめのベース音は除く)と右手の最高音は同じ音(高さは違う)で呼応しています。
( ゚д゚)ハッ!
見えてきました
まさに、ワルツを踊っている光景そのものです。左手は男子、右手は女性。男性がステップを踏みながら女性をリードして会場左側へと移動していきます。
そうであれば、華麗な足さばきをイメージしてネガティブスペースを描くとこんな感じでしょうか。
・改善例
ポイントは、直線的な移動ではなく弧を描くことと、後半の2小節目は少し「レ」を通り過ぎて戻って着地させることです。大回りさせます。ダンスのイメージでいうと、ここは少し顔を残してアクセント的に大きな動作をしているような情景が浮かんだのでね。
楽譜をよく読むと、あらたなイメージが湧いたのが興味深くて、もう少しじっくり楽譜を眺めてみました。
すると・・・
苦手意識を持っていた後半の左手は、前半の部品がそのままはめ込まれていることがわかりました。
見事に前半の和音を再利用しています。そのまんま。弾きながらなんとなく「規則的な変化だなぁ」と感じていましたが、ここまでキッカリ同じ構成だったとは気付いていませんでした^^;やるな、シベリウス。前半の和音をベースに音を厚くした、というのは後半の実態です。
構成がわかってしまえば、暗譜が苦手な人でも楽に覚えられそうですね。
アナリーゼを先にして弾く方からすると、何を今更?!的な話かと思います。
しかし、いつもの私は分析する前に曲を猪突猛進に練習してきたので、今回の学びは新鮮でした。