オール5近い成績優秀者だからこそ気を付けたい入試と未来に向けた注意点【注意パターンの例あり】
先日、教室長仲間とあるオール5の生徒への指導について話をしていました。
そこから話は膨らんで、その子以外への指導の話にもなったので、本日はそれを記録しておきたいと思います。
一口にオール5と言っても、色んなタイプの生徒がいます。授業態度もよくコツコツと勉強時間を確保している子もいれば、のらりくらりと要領よく何でもこなしてしまうタイプの子も。
今までいろんな成績優秀な生徒を見てきましたが、誰一人として同じ子はいません。ま、そりゃそうですよね。
もちろん個々人によっても違ってくるのですが、言ってしまえば学校ごとの5のつけ方だって違うというのは昔から誰もが知っているお話。
以前、『通知表の見方』でも説明をしましたが、ちょっと古いデータでもってこんなものがあります。
見辛いですね。藤沢市だけぐっと抜き出してみましょう。それでも見辛いか。
まぁ、学年ごとの違いもあるとは思うのですが、違う人が評価をすればそりゃ差が出るのはおかしな話ではありません。
これが問題とかそういうお話ではないのです。これだけ揺らぎのある指標であるからこそ、成績に5がついたというだけで安心してしまうのは危険だよというお話です。
少し前のことですが、中3の夏過ぎに面談にいらっしゃった新規の保護者様から、こんなお話を受けたことがあります。
「オール5に近い成績を取っていたので安心をしていたら、模試を受けてみて驚いたんです」
それまで体調不良や何やらで模試を受けたことがなく、でも成績が良かったので安心をしていたら、模試を受けてみてビックリ。完全に今までの内容を忘れていて、総合問題である模試で全然点数が取れなかったとのこと。
たしかに内申点をしっかり取れているということは本人の頑張りです。そこはとっても褒めてあげましょう。しかし、だからこそ注意しなければならないのは、高校入試はそれだけの勝負ではないということです。
内申点をとることと、高校入試の学力検査で点数を取るということは、スポーツで言うならば、別の競技で競争をするようなものです。
うん、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、注意喚起ですからこのぐらいにしておきましょう。
成績は良いけど入試で苦労する生徒のパターン例
『成績上昇大作戦』でも記した通り、学校の内申点を上げるには「授業態度」「提出物」「学力テスト」「先生とのコミュニケーション」の4ポイントが重要で、これらをそつなくこなすことが大切になってきます。
「学力テスト」で良い点数取れれば入試でも良い点数取れるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、範囲の決まっている「学力テスト」で点数を取ることと、総合的な問題で考える力を問う(特に最近の)入試で点数を取ることでは、やはり必要な力が少し違ってきます。
先程話に挙げた新規の生徒がいい例でしょう。成績は良いのに模試で点数が取れない生徒は、早めにその課題を見つけて、手を打つことが大切です。
そういう子で多いパターンをいくつか上げておきましょう。
僕は勝手に「本質型」や「テクニック重視型」「短距離型」などと名前をつけて呼んでいますが、知識の入れ方や使い方のバランスに特徴がある場合が多いです。もちろんこれらはあくまでフィルタリングの一つで、その中でも個人差が大きくあります。参考までに。
「本質型」は、真面目な性格の子に多いかな。物事の本質を理解するので勉強においては最高の知識の入れ方をする生徒です。でも、ことテストにおいては時間内で自分の実力を発揮できなかったりします。特に範囲の広い総合問題においては時間足らずで終わることが多く、課題はスピードの場合が多いです。適切なレベルの問題でのアウトプットの練習が必要です。
「テクニック重視型」はその逆で、テストで点数を取るための知識の入れ方や出し方を重視するタイプです。こういう場合はここに補助線引けばいい、とか塾技みたいな公式をとにかく沢山覚えているタイプです。課題は確かな学力が身についていない場合が多く、「なぜ」を問われたりする問題では苦戦するでしょう。問題傾向の変化に大きく結果が左右されるタイプです。「なぜこれはこうなるのか」という本質を学び、確かな学力を身につければ一気に化けます。
「本質」と「テクニック」、このバランスが非常に重要です。「本質」という土台の上に、「テクニック」がきっちり積み上がった状態が最強でしょう。塾は足りない部分を補ってやればいいのです。
「短距離型」は短期集中のインプットが得意で、定期テストに強いタイプです。勝手なイメージですが、部活動やクラブで何かをめっちゃ頑張っている子に多い印象です。人間は基本的にすぐ入れたものはすぐ抜けていくので、このタイプの子は定期テストが終わったらその範囲の内容を忘れてしまうことがしばしばです。そのため、長距離走である入試では苦戦しがちです。定期的な総合チェックと、優先順位や時間の使い方(特に勉強以外で本気になっているものがある場合)についてしっかりと話す必要があります。
最後に紹介するのは、「やらされ型」です。塾の先生などが「これやって」というものには真摯に取り組みますが、自分で考えて何かをやるのが苦手な子です。もしかしたら、一番の注意所かもしれません。このタイプは、塾が与える課題で圧倒的な質と量を行うことで高校受験をクリアすることができますが、高校に入ってから困ることが多く伸び悩みます。指導の上でしっかりと自分で考えさせる時間をとることが重要なタイプです。
余談になりますが、「自分で考える力」というのは間違いなくこれからの社会で必要になってくる力です。多くの仕事がAIに取って代わられる時代、その力こそが自身の新しい価値を生んでいくのです。そして、小中高の期間というのは、その練習をする大切な期間でもあります。たしかに、「やれと言われたことをやる」よりも、失敗して傷つく回数は増えたり、ちょっと時間がかかったりするかもしれませんが、「自分で考えてやる」ということを繰り返した子は強いです。その経験はきっと社会に出てから大きく活きてくるはずです。私たち指導側も気を付けねばなりませんね。
成績をきちんと取れているということは、間違いなく紛れもなくその子が頑張っている証拠でもあります。だからこそ、ちょっと先にも目を向けて、選択肢を増やせるようにしておきましょう。
高校受験や大学受験で人生が終わるわけでもありません。その先のほうがずっとずっと長いのです。
さ、バーっと書いてしまいましたが、自分の備忘録や自身への注意喚起でもあります。別に誰かや他の塾を責めているわけでもありませんのでご容赦ください。当塾が、入試はもちろん、そんな先の未来でも役立つ力を養える塾であれたら幸いです。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
答えがある問いよりも、答えがない問いに答えられる力をつけていこう。