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Evidence Based Physical Therapy - 理学療法士 倉形裕史のページ

小脳梗塞患者のリハビリ後の機能回復①

2018.05.05 12:12

こんばんは。夢のまち訪問看護リハビリステーション 都賀の理学療法士の倉形です。

以下に書くことは、私の所属先などとは一切関係のない私の私見であり、文責は全て倉形個人にあります。


昨日の続きを書くつもりでしたが、浮気します。

今日は、小脳梗塞患者のリハビリ後の機能回復に関して論文を読んでみました。

 P. J. Kelly, J. Stein et al: Functional Recovery After Rehabilitation for Cerebellar Stroke

 Stroke 2001 Feb: 32(2):530-4

Pubmed でPDFをダウンロードできます。

結構古い論文ですが、みんな大好き(?)Stroke誌なので興味深いです。

アブストラクトは、こんな感じ。

目的:① 小脳梗塞患者のリハビリ後の機能回復の大きさを調べること。

   ② 機能回復を予測できうるような変数を明らかにすること

方法:リハビリテーション病院にて4年間、連続して入院してきた小脳梗塞と小脳出血患者を    

   後方視的に調査した。

   臨床症状と併存疾患に関しても評価している。機能回復は、FIMによって測られてお

   り、リハビリテーション病院への入院時FIM(AFIM)、退院時FIM(DFIM)、

   フォローアップ時FIM(FFIM)が測定されていて、フォローアップに関しては、

   電話でのインタビューにより行われた。

結果:58名が対象となった(平均年齢69.2歳;梗塞49例:出血9例)。平均AFIMが65.5、

   DFIMが89.8、FFIMが123.5(但し、フォローアップまで追跡できたのは45例で

   全体の78%だった。フォローアップまでの期間は、平均19.5ヶ月)。

   機能回復は、『AFIM』と『初期の臨床症状の存在』と正の相関を示した

   (症状:眩暈、嘔吐、失調、頭痛)。一方、preexisting comorbidity score、

   初期の意識レベル、上小脳動脈梗塞と負の相関を示した。

   多変量解析の結果、AFIMとcomorbidity scoreは独立した予後予測因子だった。

   小脳梗塞の方が小脳出血よりも機能が良い傾向にあった。

結論:小脳梗塞のリハビリ後の機能回復は比較的良好で、『急性期病院退院時のFIM』と

   『併存疾患に関するスコア』が独立した予測因子だった。

まだ、内容をすごく読み込んだわけじゃないけど初発の小脳梗塞であれば、基本的な日常生活動作はほぼ自立までいけるんだなと。これは、自分がもっている印象とも一致しますね。

同じようなセッティングの患者さん・利用者さんが対象になったら、ポジティブなゴール設定をしてリハビリを進めていいと思います。

細かい併存疾患のスコアの内容やどんなリハビリがされたか、このデータをどんな風に解釈したかなどはまた改めて書きます(多分)。

今日もお付き合い頂きありがとうございました。

     理学療法士  倉形裕史