詩「YUTAKA EP」 (デイジー)
2018.05.05 19:47
我らが22世紀
人は折り返し地点でノスタルジーを
見るという
幼少期おねえちゃんと夏の朝
自動販売機から
黄色いかき氷が出た
ぼく緑がいい
ぼく緑がいい
ぼく緑がいい!
その夏、おじいさんは死んぢゃった
病院でぼくの名前すら
分からず
トラウマに怯えて猫のふりをする
人さらいの夏に
この世から消えて
骨になっちゃった
通信兵だったおじいさん
モールス信号を送るのはどこへ?
あなたは戦争でなにを見た?
あなたは戦争でなにを食べた?
あなたの目にうつったものは何?
アメリカに旅行すると伝えて
ぼくが日本へ帰ってきた時
病院のベッドに横たわるおじいさんに
「ただいま。」
と言ったら
おじいさんはぼくに敬礼した
なんだろう
ぼくがアメリカに戦争にでも行って
無事に日本に帰ってきたと思ったのかな?
おじいさん
子猫をドブに捨てるように
仕向けたおじいさん
5匹の子猫が
ニャーニャーないて
ドブの底に沈んでいく
ぼくは悲しくなったが
そうすべくなかったよ
残酷だね、おじいさん
浜辺で貝を耳にあてると
波の音がかすかに聞こえる
サンプラーのボタンを押すと
死んぢゃったおじいさんの声がループする
ぼくの質問に
「元気だよ」
「元気だよ」
「元気だよ」
涙が溢れる
なんともいえない
せつなさだね