米国整形外科学科学会の膝関節症への治療に関する推奨のサマリー②
おはようございます。夢のまち訪問看護リハビリステーション 都賀の理学療法士の倉形です。
はじめましての方はこちらをどうぞ。こんなことを日々考えてます。
以下に書くことは、私の所属先などとは一切関係のない私の私見であり、文責は全て倉形個人にあります。
2013年にAAOS(米国整形外科学科学会)が出した膝関節症への治療に関するガイドラインを読んでみました。AAOSのホームページからPDFが無料でダウンロードできます。
前回の続きです。
6. 症状のある膝関節症患者に対して、グルコサミン、コンドロイチンの使用は推奨しない
→強い推奨(表現がややこしいですが、強く否定しているということです)
7A. 症状のある膝関節症患者に対して、NSAIDsとトラマドール(オピオイド系の
鎮痛薬)の使用を推奨する→強い推奨
7B. アセトアミノフェン、オピオイド、フェンタニルの使用は推奨しない。
→結論には至っていない(きちんとしたデータが出揃っていないということです)
8. 症状のある膝関節症患者に対して、関節内へのステロイドの使用を推奨しない
→結論には至っていない(きちんとしたデータが出揃っていないということです)
9. 症状のある膝関節症患者に対して、ヒアルロン酸の使用を推奨しない
→強い推奨(表現がややこしいですが、強く否定しているということです)
10. 症状のある膝関節症患者に対して、成長因子と多血小版血漿(もしくはどちらか単独)
の 注射は推奨しない
→結論には至っていない(きちんとしたデータが出揃っていないということです)
11. 症状のある膝関節症患者に対しての、関節内洗浄は推奨しない
→中等度の推奨
12. 症状のある膝関節症患者に対して、関節協関節洗浄、デブリは推奨しない
→強い推奨(表現がややこしいですが、強く否定しているということです)
13. 半月板損傷のある膝関節症患者に対して、関節鏡視下半月板部分切除術は推奨しない
→結論には至っていない(きちんとしたデータが出揃っていないということです)
14. 症状のある内側区画の膝関節症患者に対して、骨切り術が考慮される
→限定的な推奨
15. 症状のある内側区画の膝関節症患者に対して、free-floating interpositional deviceの
使用は信頼できる根拠が乏しい
→ワーキンググループの見解
以上で、15項目の推奨度は終わりです。
こうしてみると、結構よく行われている治療も根拠に乏しいものがありますね。
あと、free-floating interpositional device みたいなわからない治療もある。ネットで検索してみると、インプラントの一種なのかな・・・??
グルコサミンやコンドロイチンは、TVでたくさんCMしていますが、2013年の時点で科学的には否定されてるんですね。ただし、よくTVを観たり、チラシをしっかり読むと『膝関節症に効く』とか『膝痛改善に効果的』とかは書いてないし、言ってないんですよね。。。製品を使った方が、あくまで『個人の感想』として言ってたりはするけど。。。。
これを『上手いマーケティング』とするか『不誠実な顧客誘導』と取るかは意見が分かれそうですが・・・。
次回はリハビリに関係する項目に関して少し掘り下げてみたいです。
最後までお付き合い頂きありがとうございました
理学療法士 倉形裕史