ご朱印帳
2018.05.06 12:44
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怖い物見たさというわけではないが、どうしてもお預かりした御朱印帳の、前のページをそっと見てしまう。
(達筆だなあ…) ため息をついて、筆をとり上げる。
御朱印を書く立場になって2年になるが、未だに思うようにかけたことはない。
「字が上手じゃなくてごめんなさい」
お渡しするときにあやまるくせがついてしまった。
でも先日娘が
「お母さんは元から字がきれいなんだから、大丈夫だよ」
と言ってくれたら、なんだか肩の力が抜けた。
せめてその時に書ける精一杯の字をていねいに書こうと思っていた若い頃の自分を思い出した。
今日は平日なのに、御朱印を求める方が三人あった。
お待たせしているという気持ちは脇に置いておいて、一字一字をていねいに書いた。
「きれいな字ですね」
とほめていただいた。
「いや、上手じゃないの。ごめんなさい」
やっぱり口ぐせが出てしまったけれど、これでいいのかな、と思った。