第49回室内楽定期演奏会 《福岡発弦楽四重奏団》育成プロジェクト2 ①
室内楽定期演奏会は来月の回で50回を重ねます。
全ての企画の中で、私が最も大切にして、最も情熱を傾けているのがこの《福岡発弦楽四重奏団》育成プロジェクトです。
意外に思われるかもしれません。
その理由にお付き合いください。
クラシック音楽の核である弦楽四重奏、それを定期的に体感する機会が、その地域に身近にあれば、音楽を純に愛する聴衆が育ちましょう。
ところが、首都圏においても常設の四重奏団の継続は難儀で、地方ではなおさらです。
弦楽四重奏団は演奏の基礎建築に10年、熟成に20年要するとされているからです。
幸いにも、この室内楽定期演奏会の聴衆はクァルテット・エクセルシオの演奏を聴く機会に13年・16回も恵まれてきました。
純粋で厳格な弦楽四重奏の演奏会の時ほど、聴衆は演奏者に反応を還し、会場には熱い空気が醸されます。
私たちは彼らに育ててもらったと言えましょう。
一方で、音楽家は演奏会経験によって育つ、すなわち、聴衆と主催者によって育てられます。
この見解に違和感を感じる方は多いと思いますが、欧米の聴衆は当然のようにこう意識しているそうです。
クァルテット・エクセルシオは、彼らの自主公演、特に初期の10数年それの聴衆と関係者によって、育てられたのです。
私たちはそうした方々からの収穫をご馳走していただいていることを忘れてはいけません。
この育成プロジェクトは、常設の弦楽四重奏団が不在となった福岡でそれを興し、四重奏団と聴衆がともに歩み、絆を築いていく試みです。
かつて、岸邉百百雄さんが主宰していた弦楽四重奏団、福岡モーツァルト・アンサンブル(1975-94年)の活動はそうだったように。
私は福岡モーツァルト・アンサンブルを、活動期間の折り返しから愛聴し、最後の5年は直方市で定期演奏会を主催しました。
上の画像はその時のものです。
この四重奏団が解散してから、《おらが弦楽四重奏団》の再興を20数年、宿望のように抱いていたのです。
そして、《福岡発弦楽重奏団》のメンバーである佐藤仁美さんと猿渡友美恵さんが、福岡モーツァルト・アンサンブルの第2ヴァイオリン奏者、太期晴子さんのお弟子さんであることにも深い縁を感じております。
皆さまにこの趣旨に共感していただき、この《福岡発弦楽四重奏団》の育て親の一人になってくださること願います。
カザルスは若手の育成に腐心していました。
カザルスに、この育成プロジェクトが届きますように!
ちなみにこの画像は、昨年のプロジェクト1について日経新聞九州版に寄稿したものです。
日程はそれのものですので、お間違いのないようにお願い申し上げます。