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アントン・ディフリング列伝 Anton Diffring Story

2023.02.23 11:30

アントン・ディフリングは、ドイツ帝国のコブレンツにて生をうける。第一次世界大戦が勃発すると、ディフリングは軍に入隊し、ブルー・マックス勲章を得ることに野望を燃やす若者の宣伝を担当する。


その後、情報部の大佐に昇進したディフリングは、飛行船に乗り込んでスコットランドに潜入し、城に隠されているイギリスの歴史的な絵画や財宝を奪取しようとするが、英軍の反撃に遭ってしまう。そして、英軍の投げた手榴弾から飛行船を守るために、手榴弾に自らの身を投げるという男気を見せる。


瀕死の重傷で九死に一生を得たディフリングは、その後、ナチス党に入党。党内で頭角を現して、外交のトップにまで登り詰める。しかし、「独りよがりで無能」の烙印を押されてしまう。


外交官失格となったディフリングは、第二次世界大戦が勃発すると、再び軍に入隊し、連合軍捕虜収容所勤務となる。コルディッツ城に設けられた捕虜収容所では、英軍捕虜たちが独軍の将校に化けて脱走しようとしていたが、残念なことにディフリングは、彼らの脱走を阻止することが出来なかった。


捕虜脱走の責任を問われたディフリングは一兵卒として、アフリカ戦線に飛ばされる。なおアフリカ戦線では、赤いベレーや黒いベレー被ったディフリングが目撃されているが、一時期、英軍内に潜入していたものと思われる。


その英軍潜入の功が認められたのか、ディフリングはその後、アフリカ軍団の大佐にまで昇進するが好事魔多し、遺跡をバックにポーズを決めて写真撮影をしていたところを狙撃されてしまう。


瀕死の重傷を負いながらも、傷の癒えたディフリングは、「暑いところはもうコリゴリ」とばかりに、親衛隊に転籍すると同時にチェコの保護領の総督となる。しかし、平穏な日は長くは続かず、英軍の送り込んだコマンド部隊に襲撃されてしまう。


今度こそ死んだと思われたものの、奇跡的に息を吹き返したディフリングは、傷が癒えると空軍に転籍して、バルカン方面にてユーゴパルチザンに対する第5次攻勢「黒作戦」に従事する。が、パルチザンの包囲撃滅には至らず、パルチザンを逃がしてしまう。


パルチザンを殲滅させることが出来なかったディフリングは、北欧の地に飛ばされ、重水製造工場の警備を任されるも、英軍コマンド部隊によって工場は襲撃を受けてしまう。


その後、親衛隊に戻ったディフリングは、マルセイユでのレジスタンス狩りやペーネミュンデに潜入したスパイの摘発に従事するが、そのペーネミュンデは連合軍による爆撃を受けてしまう。



ペーネミュンデのV2基地と運命を共にしたかに思われたディフリングだが、爆撃の日は現地に不在で事なきを得ていた。しかし、責任の一端を問われて親衛隊を追われたディフリングは、今度はNSDAPとしてドイツ軍対連合軍捕虜のサッカーの試合を実況する。


サッカーの試合においても連合軍捕虜が脱走し、そのとばっちりを受けたディフリングは、再び親衛隊に戻って捕虜収容所勤務となる。そこでは賄賂と引きかえに捕虜の脱走を見逃すフリをするなどして、結果、またしても深傷を追ってしまう。


回復したディフリングは「ワシは情報部が一番なんや!」とばかりに、ババリア地方の情報部の責任者となり、シュロス・アドラーにて抜群の存在感を発揮する。しかし、乾杯したのも束の間、またしても連合軍が送り込んだスパイによって重傷を負ってしまう。


もう親衛隊はコリゴリと、傷の癒えたディフリングは空軍に転籍、オランダの地でノホホンと過ごそうとするも、連合軍が送り込んだ女スパイに鼻の下を伸ばしていると、空軍基地がレジスタンスに襲撃されてしまう。



その後、陸軍に戻ったディフリングは、機甲師団に配属となる。そして、いわゆるバルジの戦いの際に、捕らえた米国のオーケストラ楽団員を何とか射殺しようと執念を燃やすが、師団長から厄介者扱いされて撃たれてしまう。


撃たれてもゾンビの如く復活するディフリングは、第二次世界大戦後は東独の秘密諜報機関長となる。そして、CIA内部に替え玉のスパイを送り込もうと画策するも、ユル・ブリンナーによって阻まれてしまう。


晩年はマッド・サイエンティストとして、閉塞環境に長期間置かれた人間の心理変化を研究するも、1989年に病没。享年70歳。