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DRAGON FRUIT 表紙の絵について

2018.05.09 03:00

 小野さんとの出会いはうたたねのアルバム「うつくしいもの」のレコ発ライブでした。

 僕はうたたねのなつゆさんと数年前に知り合って、その時にうたたねというバンドの存在を知りました。その日はなつゆさんのお誘いで、初めて彼らのライブに足を運んだのでした。

 なつゆさんの歌声も小野さんの歌声も、ライブに行く前からイヤホンを通して聞いていたのですが、彼らの演奏と歌声を半径三メートルの距離で聞いた僕は、とても感動しました。ベタな言葉なのですが、感動したという響きが一番合っている気がします。

 うたたねのライブ全体の感想を書くと長くなるので、小野さんのことだけに絞って書きます。

 彼は大きく口を開けて楽しそうに歌っていました。ニコニコしながらとても幸せそうに歌うのです。

 ライブ前には僕は彼と話も交わしていなかったはずなのに、そのパフォーマンスを見て、歌声を聞いて、彼の人間性も知らないのに、なんだか中身から好きになった気がしたのでした。

 その後、しばらく時が経過し、今回の表紙の絵のご依頼を頂き、もちろん快諾させていただきました。最初の打ち合わせは渋谷のカフェでした。ゆっくりとお話を聞かせていただき、話がまとまると、小野さんはこの後ライブの出番があると言うのでお店を後にしました。

 僕は小腹が空いていたので一人残らせてもらって、ケーキを食べながらスケッチブックにつらつらと絵を描いていました。

 実は小野さんの話を聞きながら、DRAGON FRUIT の表紙絵のイメージが頭にパッと浮かんで来たので、忘れないうちにすぐに手を動かしたのでした。

 その絵にどんな想いを込めたのかは、絵が完成した時に送ったメッセージを載せておきますので、お読みいただければと思います。

〈以下、小野さんに送ったメッセージから抜粋〉

(前略)‒‒‒

実は小野さんと最初に打ち合わせした直後に思い浮かんだ図案があって、僕としてはこれを採用してほしいと思っています。その図案はDRAGON FRUIT を読みながら少し塩漬けにしておきました。時間が経過してから見ると印象が変わることがあるからです。それと塩漬けにしながら、もう一つ図案を考えてみましたので、そちらもお送りします。

ですが、時間が経った今でも、最初に思い浮かんだ図案を採用してほしいと思い、ブラッシュアップを重ねて提出いたします。これからお送りする2つの案の内、最初に送るA案が僕の採用していただきたい図案です。

小野さんのお話を伺って、音楽をやっている人同士が共通項を通して繋がることや、そのコミュニティにこれから興味を持って繋がっていく人達のことを思い浮かべて描きました。

形はドラゴンフルーツから着想を得ていますが、この活動や、このコミュニティに関わるそれぞれの人達がこれからも変容していく様を表現したいと思ったので、その形になりきっていない抽象的な形にしたいと思いました。

‒‒‒(後略)

〈以上〉

 というとように、「この表紙はこれで行きたい」という絵が出来たので、自らごり押ししているのがちょっと恐縮なのですが、それくらいぴったりの絵ができたと思っています。

 僕は、これからもDRAGONFRUIT が続いていくことと、さらに多くの人に楽しんでいただける読み物になることを願っています。皆さん、本の内容と同じく、表紙の絵を愛してあげてくださいね。

 心より、よろしくお願い申しあげます。


文・カブキガオ/佐野圭

美術大学を卒業後、食器の会社に入社し、プロダクトデザイナーを勤める。その傍ら個人として絵を描き続け、デザイン事務所を経て独立。プロダクトデザイン、グラフィックデザインやパッケージデザインなどを手がける一方、カブキガオとして作品を制作。音楽バンドや、商店等にイラストレーションを提供したり、イベント出店等、様々な活動を展開している。