戦前のアマチュア天文家(4)
小山丑松氏についての詳細は不明です。
坂井弘氏は、京星会の会員で、鋳造業を営んでいました。
「京星」③(1935年5月号)の会員素描によると、「坂井弘(22)朱雀四天王の一人、元気で朗らかな若者、スキー、登山、運動は何でも来いの人である。お家は鋳物屋さんで望遠鏡の部分品なら大抵自作すると物凄い鼻息である。先日10cm中村鏡を入手され、若しかすると立派な赤道儀位作ってしまいそうだ。昨年秋、宮本君の紹介で高井氏の望遠鏡で月を覗いて以来、忽ちに熱心な星の讃美者となり、多くの天文書に理論的知識を深め、近々数ヶ月で星座は一通り知ってしまったというスピーディーな天文家である。今後の活躍を期待しよう。」
当ブログでもご紹介することが多い、渡辺(佐伯)恒夫氏の8cm反射赤道儀です。2枚目写真の三脚開き留め左側に、小さな火星儀が見えます。
1937年(昭和12)2月15日の、渡辺(佐伯)恒夫氏の月面スケッチです。
坂上(さかのうえ)務氏は、1921年(大正10)鹿児島市生まれ。九州(帝国)大学農学部を卒業後、同大学助手を経て教授。専攻は農業気象学。農学博士、医学博士。1985年に同大学を定年退職、同大学名誉教授となりました。その後、私立の天文台を創設し、気象学と天文学の境界領域を研究対象としました。1993年に東亜天文学会会長、1999年にはせんだい宇宙館(鹿児島)名誉館長。1992年、小惑星5862番にSAKANOUEの命名を受けました。2018年(平成30)1月11日、96歳で永眠されました。
(参考文献)
日本アマチュア天文史,日本アマチュア天文史編纂会,恒星社厚生閣,1987
京星③,京都市京星会,1935/4/25
星空を楽しむための気象学,坂上務,河出書房新社,2005
(写真は全て伊達英太郎氏天文写真帖より)