日本古謡「さくら」
2018.05.10 09:35
ライアー編曲&演奏:工藤咲良
楽譜はこちらです。
この曲は、ライアーのためのアレンジもされており、よく演奏を耳にします。日本の曲らしい伴奏をつけても、西洋音楽に耳と頭が洗脳(?)されている私たちは、ついついモダンな和音を入れてしまい、日本古謡がどことなく「格好よく」「ロマンチックに」なってしまいます。
今回私は、出来る限り日本古謡としての「さくら」が美しく響くように、工夫を凝らしました。
まず、この曲はラシドミファという五つの音で構成された日本古来の四七抜き音階で出来ています。一ヵ所だけレの音を使いましたが、あとはすべてこの音階の構成音のみで編曲しました。(ヴァリエーションは他の音も入れています) 「和音をつける」のではなくて、必要なところに必要な低音を、出来るだけ数少なく入れることを意識しました。
冒頭の「さくら」の「さ」の音に低音をつけなかった理由は、日本語の特徴にあります。日本語には英語などのようなアクセントがありません。日本語にあるのは音の「高低」だけです。「はしのはしを持って食べる」「かえるがかえる」。「桜」はどうでしょう。「さくら」(低高高)ですよね。これは、私が大学時代に日本語教育の勉強をしていた時に習ったことです。日本人は意識せずに話しています。「さくら」の「く」の音、つまり二番目の音に低音をそっと添えてみたら、まるで言葉が聞こえてくるかのように響きました。
私の演奏を聴いていただくとお気づきになると思いますが、ヴァリエーションも含めて、私はところどころ、微妙に低音をアルペジオにしてつけています。あまりやり過ぎるとおかしなことになるので、皆さまのセンスで試してみてください。