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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

第4回十字軍21-奇跡の平和は消え戦争へ

2018.05.10 16:30

ドミニコ達は教皇インノケンティウスに知らせを送ると、おおいに喜び「服は質素に心は燃えて」とキャッチをつくって、このやりかたを広めるように指示をした。1207年春、モンレアルで大討論会が企画された。ドミニコがゆく先々で回心させていくのを恐れたカタリ派が、総力をあげて負かそうとしてきた。

この討論会では有名な奇跡が起きたとされる。双方の文書を火にかけて神明裁判をしたところ、カタリ派の文書は燃えてしまったが、ドミニコの文書は3回も火をつけたのにまるで燃えなかった。いずれにせよ、この討論では数十人もの人が正統派に回心した。

勢いづいた特使は12名の説教者を連れてきて、グループに分けて説教にまわった。しかし彼らは何の役にも立たず、数週間もすれば、帰ってしまった。教皇の指示も、お偉方にはほとんどわからなかった。そしてオスマ司教ディエゴは、資金調達にオスマに帰国してそこで亡くなった。

何と残ったのはドミニコと、プルイユに居る修道女数人だけだった。そしてさらに悪いことが起きた。トゥールーズ伯レーモン6世が破門され、08年1月特使の1人ピエールが暗殺される事件が起こった。特使アルノーはレーモン伯を破門の恨みとして告発し、十字軍を主張した。能力のないヤツほど力に頼るのだ。

下はカタリ派との討論会の奇跡