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yoyo

穂村弘編『短歌のガチャポン』

2023.02.26 01:14

穂村弘さん編『短歌のガチャポン』。色は違えど、こういうことも短歌にしていいんだという驚きが潜む歌が百首。短歌の自由さを味わいました。


歩道橋の上で西日を受けながら 自分yeah 自分yeah 自分yeah / 五島諭


収録されていた中でいちばん好きだった歌。歩道橋の上で「自分yeah」と3回も言っちゃう全能感。けれども西日から滲む哀愁。空回りかもしれないと頭の片隅で思いながら、自分を肯定する。そんな揺れを抱えながら生きている様が浮かぶ情景にぐっとくる。


穂村さんの解説も良かった。


本当はメロンが何かわからないけどパンなりにやったんだよね / 砂崎柊


に対する解説。


“見たこともないメロンに向かって、何かわからないなりに跳躍するパンの無謀さ。もしも、それを否定してしまったら、私たちだって、この世を生きるなんて、とてもできないんじゃないか。P149”


『はじめての短歌』を読んだときもそうだったけれど、この世を生き抜く強さというものに馴染めない、そういう弱さを知っている人の言葉は信頼できるなあと思う。歌単位でなく歌人ベースで解説されているのも初心者にはありがたかったです。