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海日和♪

悲しみ

2018.05.10 23:32

毎日を過ごすなかで、やっぱりおもむろに父を思い出すことがある。


病床に伏せていたときは、その現実とばかり向き合っていたような気がするけれど、今は笑顔の父を思い出すことも多い。


そんな父に、もう少しだけ孫たちの成長を見届けてもらえたら、どんなに幸せだっただろうと思う。


そしてそんな素直な気持ちとは裏腹に、もう考えたくないと封印した、さまざまな後悔、怒り、悲しみが、今でもくすぶっていることも思い知るのだった。


そんな波がやってきてしまったときは、もうそれ以上は考えない。

ただただ悲しみを感じて、受け止めて、波が過ぎて行くのをひたすら待つ。


そんな思いを抱えているのは、私だけではきっとない。



父が旅だったときに、


「本当の意味で心が癒えるには時間がかかる。前を向こうとすることも大切だけれど、時間がかかって当たり前だと思って、あまり無理をしないことです」


そう言ってくださった方がいた。

その意味を、日々を追うごとに噛みしめている。


暗い方に暗い方に向かって生きていくのは嫌だ。藁にすがってでも、私は明るい方を目指して生きていたいといつも思ってる。

だけど、悲しいときは悲しいで、仕方がないのだろうなあ。




「桜、ネコ、電車。この言葉を覚えておいてください。」


先日、長引く頭痛で脳外科を受診したときに、処置を受けているカーテンの向こうからそんな声が聞こえてきた。


いくつかの質問をしたあとに、さっきの3つを答えるよう促されている。


「桜、ネコ…」

おじいさんの声がそこで止まる。

まったくの知らない人なのに、私は祈るような気持ちになる。


「もう一つは乗り物でしたよ」

とヒントを出されるとすぐに

「電車」


そうしっかりとした答えが返ってきた。

そのあとの質問にも、しっかりと答える声が続く。


ホッとしながら、なぜだか勝手に涙がこぼれていた。