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通信

アベサイユのばら:#14 面会したのに、報告なし 柳瀬メンバーの驚くべき職務怠慢

2018.05.11 06:25

「死ぬほど実現したいという意識を持つこと」を加計学園側に求めたとされる、柳瀬元首相秘書官(現経産省審議官)


先月10日に、愛媛県から柳瀬元首相秘書官が首相官邸で加計学園側幹部と面会した際の発言録が発見されたと朝日新聞が報じた。


愛媛県側は記者会見を開き、この発言録が「備忘録」として文書化されていた事実を全面的に認めた。


一方、柳瀬氏は「記憶にない」とお得意の官僚答弁で逃げ切った。



「首相案件」という最重要案件を報告もせず、記憶の彼方に飛ばしてしまったという柳瀬元首相秘書官=毎日新聞


そもそも加計学園の幹部と首相官邸で面会した事実自体にはなんら違法性はない。

であるならば、彼はなぜここまで徹底して首相の関与を否定するのか。


注目すべきは面会した時期とその中身だ。


以下、朝日新聞が先月10日に報じた記事を一部引用する。


まず、面会した日付は2015年4月13日。


この日付が示す事実は、面会日が加計学園が獣医学部新設を予定していた愛媛県今治市が国家戦略特区に指定される半年も前ということだ。


そして、文書には

「本件は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい」


まさに、首相肝いりの案件であることを加計学園に伝えているのだ。


さらに、あまり注目されていないがこの案件をどう実現していくかについては、

「国家戦略特区でいくか、構造改革特区でいくかはテクニカルな問題であり要望が実現するのであればどちらでもいいと思う」 

「今は、国家戦略特区の方が勢いがある」


国家戦略特区に指定されるとは、地方創生に資するビジネスモデルを推進する自治体を特区指定し、かかる規制を排除して自在に実行する国からのお墨付きを与えることだ。

安倍政権で始まった制度であり、構造改革特区は小泉政権が創設した前身制度である。


要するに、国家戦略特区という制度を利用して半世紀新設のなかった獣医学部を今治に呼び込もうと提案しているのだ。


ただ、ここで考えなければならないのはなぜ獣医学部が半世紀もの間新設されなかったのか。ということだ。

この記事の中で筆者は世界動物保健機構(World Organization for Animal Health)の出すデータを基に日本の獣医師数の経年変化と、国際比較を行っている。


それによれば、世界的に日本の獣医師が充分にたり得ていることが一目で分かる。


公的機関で働く獣医師=公務員獣医師の数は日本は国際的にごく普通の水準だ。少なくも多くもない。


ただ、今回の獣医学部新設はその足りなくないはずの公務員獣医師が「不足している」との認識から発想されたもの。


たしかに公務員獣医師の数は足りていないらしいが、それは地域ごとに差があるだけにすぎない。

全体的な数は足りているのだから、地域ごとの格差をなくせば問題は解決する。


にもかかわらず、そんな簡単なことをせずわざわざ何十億もの税金を投入して獣医師を増やそうとしている。


首相肝いりで行おうとしているのはまさに税金のムダ遣いだ。


さらに、こんなことを言ってしまうと語弊があるが、獣医学部新設に手を挙げたのは岡山理科大学(加計学園)だけでなく京都産業大学も参画しようとした。しかし、全国的に名の通っている京都産業大学ではなく岡山理科大学を選んだ。


しかもだ、

岡山理科大学獣医学部の教養科目として組まれている授業の参考図書に小川榮太郎氏の『徹底検証「森友・加計事件」――朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』 (月刊Hanada双書)が選ばれているのだ。


この本は著者が「ねつ造新聞」と狂信している朝日新聞に一切取材を行わず自らの主観そのままを文字にしただけのお粗末なものだ。

物書きやジャーナリストを名乗るなら(そうでなくても)検証する相手を取材せずに書き連ねることは、検証でもなんでもなくただの便所の落書きに過ぎないことくらい分かるはずだろう。


そんな常識的なことはふつうの人間なら分かるはずなのだが、小川信者はやはりこの本を絶賛していて、お笑い以外には全くと言っていいほど無教養なダウンタウンの浜田雅功がおすすめの一冊としてあげるほどだ。


そもそもこの本が獣医師になるならない以前に社会に出るにあたって害悪でしかない参考図書だ。


著者は、世に対して対象に確認を取らなくても自分の感性でフェイクだのねつ造だの尊厳を貶めるような言論をふりまいてもかまわないという価値観を広めているのだ。

はっきりいってバカだ。



話が脱線しすぎたので、戻そう。

ここまで見てみると、愛媛県今治市が国家戦略特区に指定されたことが不思議になってくるだろう。


ところが、柳瀬元首相秘書官はさらにこうたたみかけるのだ。

「いずれにしても、自治体がやらされモードではなく、死ぬほど実現したいという意識を持つことが最低条件。」

この表現だけを切り取れば、当たり前のことを言っているようにも見えるが、ここまでの流れを整理してもう一度この表現を見るといかにバカバカしいかが自ずと分かるはず。


こんなバカげた茶番、いったい誰のためにやっているのだろうか。



参考人招致の場で柳瀬氏は当初記憶が無いとしていた面会した事実を一転して認めた。

そればかりか、面会記録にある4月よりも前にもう2回会っていることも認めたのだ。


その一方で「首相案件」というフレーズを使ったことはないと否定し、首相秘書官でありながら首相への報告もせず、首相からの指示もいっさいなかったという。


極めつけは国家戦略特区に指定されたすべての事業者のなかで首相秘書官が面会したのが加計学園ただひとつだったということ。


これは、明らかに首相とその秘書官がアベ友が理事長を務める加計学園を特別視していたなによりの証拠だ。


柳瀬氏は、なぜこのような無理筋な答弁ばかりを繰り返すのだろうか。


可能性としてはもはや1つしかない。

昨年の安倍首相の答弁「(加計学園の獣医学部新設の話を)初めて知ったのは今年(2017年)1月20日であります。」


安倍首相が加計学園が手を上げていることを知ったのが2017年1月20日。

柳瀬元首相秘書官が加計学園幹部から獣医学部新設の話を持ちかけられたのが2015年2月~3月。


柳瀬氏がこの面会の事実を首相に報告でもしていたらこの首相答弁が明らかな嘘であることの証明になってしまう。


だから、首相秘書官だから首相案件として面会した事実を首相に伝えたというごく普通の答弁ができなくなってしまったのだ。


何度でも言うが、首相秘書官なのに首相に報告せず首相が進めたがっている案件を密室で勝手に話をまとめるなんて話絶対にありえない。


これが事実なら、安倍首相は元秘書官を職務怠慢で更迭し、首相の名を許可なく利用して加計学園の獣医学部新設を推進しようとした背任容疑と名誉毀損で訴訟を起こしてもいいはずなのだが、首相は相変わらず「すべてを明らかにしてくれると思う」と“エール”を送った。



こんな無理筋な答弁を悪びれることなくひけらかすのだから、安倍政権はよほどこの国の国民の民度を低く見ているのだろう。

まあ、これで安倍さんを辞めさせようという機運が高まらないのだから民度が低いことはあながち間違いではないが………。