勇気ある子どもを育てるためには
2014.08.15 23:23
「男の子の育て方」(諸富祥彦著)を読みました。本書は幼児期から思春期にかけての男の子の望ましい育て方について、特に母親を対象として書かれたものです。しかし父親が読んでもなるほどと思わせる記載も満載です。内容を振り返ってみると、どれも当たり前のことが書かれてあるのですが、その当たり前のことを上手く伝わるように表現できている著者の文章力に感心しました。
男の子の育て方~「結婚力」「学力」「仕事力」。0~12歳児の親が最低限しておくべきこと。~
• 作者: 諸富祥彦
• 出版社/メーカー: WAVE出版
• 発売日: 2009/12/16
• メディア: 単行本(ソフトカバー)
• 購入: 7人 クリック: 14回
著者は「勇気のある子ども」とは1. 困難を克服しようとする
2. 失敗しても自己嫌悪に陥らない
3. 出来るかどうか分からないことにチャレンジする
4. 自分一人だけでやろうとせず、人と協力しようとするこどもである
と述べています。では一体どうすれば「勇気」を持つことが出来るのでしょうか? 本書の思想のベースにはアドラー心理学の影響があるようです。アドラー心理学について述べた「嫌われる勇気」を参考にして考えてみました。アドラー心理学では「人は、自分には価値があると思えた時にだけ、勇気を持てる」と述べています。では「一体どうすれば、自分には価値があると思えるようになるのか?」という問いに対して、「私は共同体にとって有益なのだ」と実感出来た時にこそ、自らの価値を実感出来ると述べています。子どもたちにとっての共同体は学校や友達仲間などありますが、家族も大切な共同体の一つです。では子どもたちが家族の中で、自分の価値を実感出来るようにするにはどうすれば良いのでしょうか?手伝いをさせよう
本書の答えは「家事の手伝いをさせる」ということです。男の子をまっとうに就職して働き、結婚が出来る一人前の男に成長させるために必要なことだと述べています。手伝いを通して男の子は、「自分は家族の役に立っている」と思えた時にこそ、自らの価値を実感することが出来ます。さらに将来働いたり、結婚して家庭を営むための「3つの力」を身につけることが出来ます。その3つの力とは1. フットワークが身につく
2. 役割を果たす喜びやみんなの役に立つ喜びを体験出来る
3. 困難に立ち向かう力を育てることが出来る
特に2.によって自己有用感や自己貢献感を育むことができ、ひいては困難を乗り越えていく原動力が生まれます。自己貢献感は、アドラー心理学の中でも「幸福とは貢献感である」と定義されています。男の子と育て方の一歩として「お手伝い」から始めるというのはなかなか面白いと思いました。