同棲 ~5~
2013.06.04 05:12
わたし達の生活はその後も順調だった。
その時すでに上の子は専門学校を卒業し
自立して専門職に就いていた。
上の子にも彼を紹介し
年末には2人の子供たちを部屋に呼び4人でわたしの手料理を食べ
楽しいひと時を過ごす事が出来た。
最初彼と子供達は(特に上の子は彼と歳が近かったので)
何となくよそよそしくて心配だったが
3人ともゲーム好きが功を奏して
あっと言う間に仲良くなった。
上の子は、彼と考え方も非情に良く似ていて
口数が少なく媚びない彼に 好感を持ったようだった。
また下の子はDSポケモンのソフトを買ってもらい
「お兄ちゃんお兄ちゃん」とすっかり懐いていった。
わたしはゲームに関してうとく話には入れなかったが
その様子をまるで3人の子供の母親のように微笑ましく見守った。
そして無事震災の翌年を迎える事が出来た。
そんなふうにわたし達は順調だったのに
なぜかわたしは彼に度々こう言った。
「もし他に好きな人が出来たらわたしに遠慮しないで言ってね。
わたしは去るものは追わない主義だから心配しないで・・・。」
わたしにはどうしてもこの状況が長く続くとは思えなかった。
彼には感謝しきれない程の愛情を注いでもらった。
もし心が離れても彼を責める気にはなれない。
その時が来たらわたしは身を引こう・・・。
いつもそんなふうに考えて
その時はそれがわたしの彼への精一杯の愛情表現だった。
わたしがそう言うと
いつも彼は寂しそうに 分かった と言った。
そして震災の翌年・・つまり昨年
わたしはいよいよ子供の親権を取るべく動き出すことになる。
続く・・・