FLEXについて 閉店まで
今から約8年も前の2009年12月。
「Inspiration space FLEX」というお店をOPENしました。
約2年弱運営し、その後はアートイベントを各地で開催していました。
特に「元町・中華街アートピクニック」は大きなイベントになりました。
最終的には元町・中華街にて「元町中華街ピープルピクニック」という形で、メディアで紹介されない素敵な方や場所にスポットを当ててインタビュー形式のWEBサイトを知り合い経由で制作しました。
今でもいちよう残っています。
元町・中華街ピープルピクニック:http://flex-info.com/peoplepicnic/
そんな話を思い出しながら3-4回に分けて書いていこうと思います。
1回目:https://yuichi-takanashi.amebaownd.com/posts/4086843
今回が2回目。
お店は無事OPENしたのですが、
毎月月初を安心して迎えるのが、大変でした。
毎月、FLEX側が漢字1文字などテーマを設定します。
例えば「幸」。
その文字からinspirationを受けた作家・クリエイターがテーマに沿って作品を制作していただき、1ヵ月単位で額を有料でお貸出しする。
だから、月途中で新たな作品が加わることは基本的にはない
=展示による売り上げは月初に確定する
というモデルでした。
航空会社や遊園地、フリーペーパーの広告モデルと一緒です。
これにより月が始まってから次の月が始まるまでは、翌月以降のクリエイターにアプローチ、もしくは問い合わせ対応に集中して次の出展者を募る。
ある程度集まらないと家賃はおろか、人件費なんて払えません。
(給料はいらなかったので、僕らは目に見えるお給料は結局ほとんどもらわなかった)
平日は営業マンとして、テレアポ~商談~契約などを行っていましたが、
「ここでも同じことするのか…」と思いながらアプローチ。
「数打てば当たる」というわけでなく、「自分たちが良いと思ったクリエイターに声を掛ける」という大変な作業であり、さらに自分たちの名前も知らない方に「想い」のみを伝えて共感を得て、その気持ちに賛同してもらったりして展示をしてもらう。
さらにクリエイター集めと同時並行で集客もやらないといけません。近くのお店においてもらうチラシやフライヤー制作や営業活動、チラシ配りやwebサイト更新、さらには雑誌取材を受けたり。
お店に来た方のおおよそを捉えるシートを作成したり、売上管理をexcelでしたり、ヤフオクで買ったレジスターを自分のお店仕様に変更して利用したり。
「見てから考えたい」というクリエイターさんのアポが当日に入ったり。
基本的にお店運営のほぼすべてを経験することはできました。
ちなみに、お店をしていた2年弱は営利は、トントンって感じでした。
最初のリフォーム代とかかかった食費なんか全てを考えたら、赤かなって感じです。
でも、凄く楽しかった。
お店を開けると出展者の方々が知り合いを呼んでくれ、その知り合いがまた誰かを連れてきてくれるサイクルになり、小さなスペースではありますが多い時には1日20名近くも人がいらっしゃいました。
小さなスペースのお店だったので知り合いも沢山できます。
来た方に来店のキッカケを聞いたり、どこに住まれているか聞いたり…
マーケティング的な意味でも沢山話していました。
お店には展示作品の他に、創作活動(アクセサリー等)をされている方の商品を置かせていただいて販売手数料を設定したり、音楽レーベルや出版社に問い合わせして欲しい音楽や本を置かせていただいたり、自分たちの古着などを置いたり…
古着は比較的売れましたが、ほかの商品を含めて「ギャラリー」として見られる分、「ものを買う」というのは全体的には弱かったという印象です。
お店側のコンセプトや打ち出し方にも問題があったのかもしれませんが、そう、この「ものを買う」、さらには「アートを買う」という文化が日本には本当にないことを見せつけられました。
各展示作品によっては「販売しても良い」というクリエイターの方もいらっしゃって、販売価格を設定します。「これは何時間もかけているから数万くらいかな…と思ったら数千円レベルだったり、中には1,000円でいいや」という方もいておそらく全体的には安価だったと思います。
しかし、売れない。
結局買ったところでどうして良いか、わからない来店者が多い。
この「アートを買う文化がない」というのがこの業界を苦しくしていることに気づき始めた頃に1年がたっていました。
1年を記念して「何かイベントができないか」ということを考えました。
それまでクリエイター同士の交流会を行ったりはしていましたが、土日はお店があるためにイベントを追加で行う、という考えすらなかなか生まれなかったのですが日ごろの感謝も込めて何かやりたい…とのことでお店を飛び出して、そのお店のテーマそのままにイベントをすることに。
馬車道駅のホールを貸し切って「出張スタイル」ということでcafeや展示が集まるイベントを行いました。
その日だけで300名以上の方にお集まりいただき、燃え尽き症候群になった記憶があります。
そんなこんなで、前述の通り、毎月家賃は何とかギリギリ…という状態のものの収益の柱である「モノを買う」文化は根付かず、+αでスケールしにくい状況をどうしよう…と思いながら、店舗をOPENして1年半~2年ころ。
お店を終了して、外でのアートイベント形式に変更していくことにしました。