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Evidence Based Physical Therapy - 理学療法士 倉形裕史のページ

米国整形外科学科学会の膝関節症への治療に関する推奨のサマリー③

2018.05.13 11:19

こんばんは。夢のまち訪問看護リハビリステーション 都賀の理学療法士の倉形です。

以下に書くことは、私の所属先などとは一切関係のない私の私見であり、文責は全て倉形個人にあります。

2013年にAAOS(米国整形外科学科学会)が出した膝関節症への治療に関するガイドラインを読んでみました。AAOSのホームページからPDFが無料でダウンロードできます。

前回の続きです。 リハビリに関係の深い項目を少し詳しく見てみます。

一番関係が深そうなのは・・・

1. 症状のある膝関節症患者に対して、下記は推奨される。 セルフマネージメントプログラム、

  筋トレ、低強度の有酸素運動、神経筋教育、ナショナルガイドラインに一致した身体活動に

  参加する。  

 →強く推奨される  と思います。  


7編の強い根拠となりうる論文のうち、5編が有効だったという結果を示した。

単純な多数決で決まるものではありませんが、同じレベルの研究結果が複数あり、かつ結果に不一致がある場合、こういう意思決定がされることがあるかと。このあたりの感覚は、裁判と似ているのかもしれません。


エクササイズは主に監視下で行われ、監視するのは理学療法士であることが多かった。 セルフマネージメントプログラムの指導は、リウマチ専門医、看護師、PT、OT、その他の専門家が行った。セルフマネージメントはプライマリケアの一環として行われた。



監視下で行うことが必要か(コスト対効果でみて)は議論の余地がありますが、エクササイズの重要性はほぼ間違いなくあるんだと思います。

研究のセッティングがプライマリケアなので対象は比較的軽症の膝OAなのかもしれません。

この中で唯一個別で名前が挙がっているのが The Arthritis Self –Management Program (ASMP)というプログラムですね。これにはエクササイズに関するものも含まれているので、AAOS的にはお薦めなのかもしれません。

 ASMPに準ずる6週間のプログラムを行い、開始後8週間が経過した時点で評価しています。


統計的に有意かつ、臨床的にみても価値のある大きさでの改善を示した項目として  ①WOMAC の痛み、硬さ、機能、トータルスコアがコントロール群と比較して改善していた。

非侵襲的な1.5ヶ月の介入でこれだけのものが良くなるなら、やってみる価値はありそうですね。セルフマネージメントなら、あんまりコストもかからなそうだし。。。

 EBMを最初に提唱したワーキンググループは、システマティック・レビューやガイドラインなどの二次資料を積極的に使うことが推奨しています。二次資料は、一次資料の”おまとめ”です。臨床家には個々の一次資料(RCTなど)をチェックする時間がないからです。二次資料の質は、基になった一次資料の質で決まります(当たり前ですが・・・)。

この推奨の根拠となった論文の質を評価するために、巻末の文献リストを見ると、RCTがほとんどです。このガイドラインの推奨は、かなり信用して良いものだと思います。

次回は、エクササイズの事をもう少し書きたい。きりがないから、このシリーズはここだけ詳しく書いてお終いにしようかと。。。

最後までお付き合い頂きありがとうございました   

    理学療法士  倉形裕史